ただ課長のそばにいる

□星空
1ページ/2ページ








かなり久々の社員旅行



前に来たときは確か俺が二年目の時だ




ひとみ「しぇんぱい、手がぁ〜」

リヴァイ「あ?」



珍しくBBQでのみまくって酔っ払ったひとみにちゃんと仕事をさせるべく、俺の隣で洗い物をさせてる

酔っ払いのこいつに刃物をもたせるのはやばいので、刃物は俺が洗って

ひとみにはフライ返しやまな板や橋を洗ってもらってる

全部洗い終わったひとみが俺に手を見せてくる



リヴァイ「あぁ、荒れたのか」


洗剤でしわしわになった手。おそらくこのあと乾燥してぼろぼろになるだろう


リヴァイ「あとでハンドクリーム貸してやる」

ひとみ「ひゃ〜つめたいですぅ〜」

リヴァイ「…たく、我儘ばっかいうな」


冷たいだのなんだのさわぐので、両手をにぎってやって水で冷えた手をあっためる


ひとみ「あぁ〜温泉みたいです…」

リヴァイ「……お前今日はもうはいるなよ。酔っ払てんだから」

ひとみ「はーい……」


とりあえず手の温度があがったので、ぱしんと叩いてやってから戻る


すでに片付けを終えたやつらと合流して部屋に戻ろうとすると、カラオケをしていこうというので少し部屋による


隣のひとみは酔いが覚めたのかうとうとしている
ここで寝られたらめんどくせぇ、とおもいオルオがうるせえ歌をうたってる間にひとみの手を引いて部屋から出た



ひとみ「ふぇ…?」

リヴァイ「お前寝るなら部屋で寝ろ」

ひとみ「へ、え〜……せっかくの旅行です……」

リヴァイ「……あ、ハンドクリーム」


ひとみの手を引いたときに、先ほどのふにゃふにゃだった手がぼろぼろになってる感覚がした

とりあえず「部屋よってけ」とひとみを部屋に呼ぶと

部屋ではエルヴィンとハンジがすでにできやがって2人で踊りくるってるのでハンドクリームだけもってなにもみなかったかのようにドアを閉めた



ひとみ「……何処でもドアですか…?」

リヴァイ「…………うまいな」

ひとみ「……今なんか見えました」

リヴァイ「見なかったことにしてやれ」


2人でロビーにむかい、ハンドクリームを貸してやるとひとみはそれを手にぬって「ありがとうございますー」といってくる


ひとみ「明日も楽しくなるといいですねー」

リヴァイ「……明日は自由行動だからな」

ひとみ「先輩はどうなさるんですかー?」

リヴァイ「……旅館でゆっくりするかもな。エルヴィンがあの調子じゃ明日くたばってるだろうし」

ひとみ「そうですかぁ」

リヴァイ「……お前はどっかいくのか、」

ひとみ「うーん、、ミカサをつれてどっかいきましょうかね」

リヴァイ「……そうか」


ロビーはしずまりかえっていて、色んな部屋から騒ぎ越えがきこえてくる




リヴァイ「……そろそろ寝るか」

ひとみ「先輩あの部屋で寝れるんですか笑」

リヴァイ「……押し入れにでも入る」

ひとみ「わ!どらえもんですか!」

リヴァイ「まあそんなところだ」


俺がそういって立ち上がると、ひとみも「よいしょっ」と立ち上がる


ひとみ「それでは先輩、おやすみなさい」

リヴァイ「ああ。風邪引くなよ」

ひとみ「はい!では……」



といいながら何故かエントランスのほうに足を進めるひとみ



リヴァイ「おいちょっとまて。どこいく」

ひとみ「?ちょっとお散歩してきます!」

リヴァイ「は?今何時だとおもってる」

ひとみ「へ?あんがいまだぎり21時代ですよ」

リヴァイ「もう22時になるだろうが。一人でうろつくな」

ひとみ「えーでも探検したいです。眠気冷めちゃいましたし」

リヴァイ「明日探検すればいいだろ」

ひとみ「………星空みたいですぅ…………」


そういってしゅん、、とする馬鹿

本当こいつはどうしようもないやつだ



リヴァイ「……たく、ほんとお前は仕方ねえな」

ひとみ「???」

リヴァイ「……ちょっとだけだぞ」

ひとみ「……え!先輩付き合ってくれるんですか!」

リヴァイ「部下を、しかも女をこの時間うろうろさせらんねえだろ」

ひとみ「わーい!お茶おごりますうっ」



ひとみはそういうと嬉しそうに自販機でお茶をかってきて俺に渡した


まだ秋始めはいまは、この時間に外に出てもあまり寒くない


浴衣に旅館の下駄で外にでた俺たちはしばらくそこらへんを散歩する


ひとみが珍しく大人しいとおもったら、ずっと上を見ながら目をキラキラさせてる


俺も空を見上げると、満天の星空が広がる




ひとみ「あ!先輩あそこすわりましょう!」

リヴァイ「ああ…」



ベンチに座ってしばらく空を観察する

互いに言葉はあまり発しない










『この星空、リヴァイくんと私だけのものみたいだね』








あの時のことを思い出した



四年前



2人で飲み会を抜け出して、手をつないで外で星を見た



思えばあいつは独占欲が強くて、俺と星とだけの空間に満足していた
その空間に満足していたのはあいつだけではく、俺もだった



あいつはゆっくり俺の肩に頭を預け、指と指を絡めた




リヴァイ『……彼氏にばれたら殺されるぞ……』

『……もう終わったようなもんだから、私は別れようていったし』

リヴァイ『……そうかよ…』

『……わたし…リヴァイくんとどこまでも行きたい。あの星くらいまで遠くでも』

リヴァイ『…………』



あの時の星は、今でも頭に残ってる

遠く遠くで輝く光。絶対に届くことのない距離なのに

何故だかあの時は、こいつとなら、、と思ってしまった



リヴァイ『………悪くねえ………』











そんな昔のことを思い出してしまった


俺も歳とったな。四年なんてそんな大したことないが、今考えたら馬鹿馬鹿しい話だ


そう思い、視線を隣に移すと、きょとん、と俺を見るひとみとぱっちり目があう



リヴァイ「……どうした」

ひとみ「……あ…いえ、別に」


珍しく俺から目をそらして俯く


リヴァイ「……なんだ」

ひとみ「……うーん…」

リヴァイ「……なんだよ」

ひとみ「……いや!ただ昔の思い出にひたってました!」

リヴァイ「…………」

ひとみ「……昔…これに似た星空をみたんです…その時のは、もっとすごかったんですよー」

リヴァイ「……そうか」

ひとみ「……先輩は、…みたことありますか?」

リヴァイ「……ああ。」

ひとみ「…………」


あいつとの思い出と、今ひとみといるこの時間を

重ねていいのだろうか

こいつは、一応俺に好意をもっているし、それなのにこいつが俺といるときに、

俺は他の女のことを思い出している

多分ひとみも

そのことをわかってる



ひとみ「……ぇへへ!わたしはですね、オーストラリアでみたんですっ」

リヴァイ「………海外かよ…」

ひとみ「はい!でも正直これよりすごかったです。多分、人生の中であれが一番の星空になる自信があります」

リヴァイ「……お前はいても人生短く考えすぎなんだよ…」

ひとみ「それくらい綺麗だったってことです!その時、私めちゃ車酔いしてたんですけどーその星空みたら、車酔いのことなんか忘れちゃいました」

リヴァイ「……どんなだった…」

ひとみ「……見れば見るほど、星の数が見えるんです。星と星の間がなくなっちゃうじゃないかってくらい」

リヴァイ「……ほぅ」

ひとみ「……別に大したエピソードはないんです。ただ、何故かずっと覚えてます。何度でも頭に思いうかびます。」

リヴァイ「…………」

ひとみ「その時の気持ちとか、光景とかって変えられないものです。だから、大事にするべきってわたしは思うんです。その思い出は、その時の自分自身の分身だから。分身はいつも、わたしにヒントをくれます。たまには後ろを振り返ってみるのも大事だよって」

リヴァイ「…………」

ひとみ「……よく人は、振り返るな、前を向けっていうじゃないですか。でも私思うんです。たまには振り返ったり、立ち止まったり、後ろに戻ってみたりしてもいいんじゃないかって」

リヴァイ「…………」

ひとみ「そうでなきゃ…とてもじゃないけど進めません……」

リヴァイ「…………」

ひとみ「……先輩も…その思い出を、どうか大切にしてください」



ひとみはそういって俺に笑いかけた
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ