きめ

□生存if
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煉獄「ひとみ!!ひとみはいるか!」

ひとみ「……ほ??」


蝶屋敷でリハビリがてらに家の用事を手伝っていたひとみだったが、蝶屋敷の玄関から聞こえる馬鹿でかい声に手を止めて階段を降りると、杏寿郎が玄関でいつものように仁王立ちに腕組みで待っていた


胡蝶「あら、煉獄さん」

煉獄「胡蝶か!おはよう!ひとみはいるだろうか」

胡蝶「おはようございます。ひとみさんなら今お手伝いをしてもらっていますが…」

煉獄「そうか!悪いのだが、少しひとみを借りても良いだろうか!食事に誘いたいのだが!」

胡蝶「笑、、そういうことなら私は構いませんが…」


しのぶはそこまで言うと、階段で立ち止まっていたひとみに目を向けて微笑んだ



煉獄「ひとみ、いたか!おはよう!」

ひとみ「…おはようございます」

煉獄「良い天気だな、食事に誘いにきた!!」

ひとみ「………ぇっと…」

胡蝶「…どうぞ行ってきてください。お散歩はリハビリにも効きます!」

ひとみ「でも、」

胡蝶「お手伝いの続きは帰ってきてからで大丈夫ですから!」

ひとみ「……、、、」

煉獄「うむ!必要ならばオレも手伝おう」

胡蝶「さすがに足りてますよ煉獄さん笑、、気にせず行ってきてください」

ひとみ「………」


しのぶに申し訳ない、、と思いつつも、ここまで肩を押されて引っ込むわけにもいかず、ひとみは久しぶりに杏寿郎と外出することになった




煉獄「まだ病み上がりだから、ゆっくり歩こう」

ひとみ「はい…、、」


蝶屋敷から外に出るのは本当に久しぶりで、少し不安を感じながらも一歩一歩地面を踏みしめて道を歩く

普段は歩くのが早い杏寿郎もひとみに合わせてゆっくり歩いているようだった



ひとみ「…すみません、、」

煉獄「…??何がだ??」

ひとみ「……歩くのが遅くて、、」

煉獄「…笑、、気にやむ必要はない、ゆっくりと言っただろう。それに、外に誘ったのはオレだしな!」

ひとみ「……はい…、、」

煉獄「今日はとても天気が良いな、、気持ちが良い」

ひとみ「………」


杏寿郎の言葉にひとみが空を見上げて、空気の匂いをすんすんと嗅ぐ



煉獄「??何か匂いがしたか?」

ひとみ「…ぁ、…春の香りがします…」

煉獄「…そうだな!もう春だ!」

ひとみ「……はい…」



街まで歩くのにだいぶ時間が掛かり、











ーーー



ひとみがご飯を口に運ぶと、杏寿郎がじっとこちらを見ているので、ひとみも杏寿郎に目を合わせて口を止めた



ひとみ「…何でしょうか」

煉獄「…こういうことは直接聞くのはおかしいかもしれんが、聞いても良いか」

ひとみ「……はい…」

煉獄「…どうして話し方を変えたんだ?」

ひとみ「……え??」


杏寿郎からのまっすぐな質問に、ひとみは始め意味がわからず、数秒ぽかんとした



ひとみ「……話し方…??」

煉獄「うむ。話し方だ」

ひとみ「……私の話し方が変でしょうか…」

煉獄「うむ。とても変だな」

ひとみ「……不快でしょうか」

煉獄「うむ。とても不快だ」

ひとみ「………」


杏寿郎がぐさぐさと正直なことをぶち込んでくるので、ひとみが眉を下げて困った顔をして俯いた



ひとみ「……すみません……」

煉獄「…ひとみ、勘違いをしては困るのだが、俺は謝ってほしいのではなく、話し方を変えた理由を聞いている」

ひとみ「……あの…」

煉獄「うむ…」

ひとみ「……話し方を変えた…というのは何でしょうか…何がどう変わったか私はあまりよくわかっていなくて、、」

煉獄「…??意図的に変えたわけではないということか?」

ひとみ「…変えたつもりはないです、、」

煉獄「…そうか、ならば質問を変える」

ひとみ「…はい…」

煉獄「…オレの名前を呼ばなくなったのは何故だろうか」

ひとみ「………」

煉獄「……前は杏寿郎と呼んでくれていただろう」

ひとみ「………」

煉獄「……何故そう呼ばなくなったんだ??」

ひとみ「…それは…、、、」

煉獄「……最後に一緒になった任務で、オレが叱ったことが原因だろうか、、」

ひとみ「…!ちがいます、注意をするのは当然です」

煉獄「では何故…」

ひとみ「………私は一般の隊士です、炎柱を名前で呼ぶなどできません」

煉獄「…同じ鬼殺隊士であることに変わりないだろう。それに、オレと君は下級の頃からの仲だし、今更階級を気にすることはないと思うのだが」

ひとみ「ダメです。そんなわけにはいきません。わたしは一般の隊士ですから」

煉獄「だが俺にとっては大切な友人だ」

ひとみ「でもわたしはそういうわけにはいきません。下級の隊士として示しがつきません」

煉獄「君は下級の隊士ではないが、、」

ひとみ「同じです。柱より下は全部同じです」

煉獄「むぅ、、つまり、君が俺に対して妙な距離感を持ったのは、俺の昇級が原因ということで良いだろうか」

ひとみ「……要約するとそうかもしれませんが…、、、」

煉獄「……??」

ひとみ「……自分が不甲斐なくて仕方がなかったんです、、煉獄さんがどんどん前に進んでいるというのに、いつまでも強くなれなくて、、私なんかが煉獄さんと友人でいるのはおこがましいと感じました、、」

煉獄「……、、そうか、、だが、オレはひとみのことをそんな風に思ったことはない。柱になろうとも、君との時間に感謝しなかったことはないし、君もオレの大切な一部だと思っている」

ひとみ「………、、、」

煉獄「……笑、、だがひとみからわけが聞けて良かった。嫌われてしまったと思っていたからな…」

ひとみ「……柱を嫌う隊士などいません。皆煉獄さんが大好きです」

煉獄「それは嬉しいが笑、、俺は皆の気持ちではなく、君の気持ちが聞きたいな」

ひとみ「私は一般隊士ですから、皆の気持ちを代表して伝えたまでです」

煉獄「…話が噛み合っていないことに気付いているだろうか…??」








煉獄「それで、今日は君に頼みたいことがある」

ひとみ「…頼みたいこと?何でしょうか」

煉獄「うむ、話し方と名前の呼び方を直して欲しい!!」

ひとみ「無理です」

煉獄「む!!?」

ひとみ「嫌です」

煉獄「何故だ!
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