きめ

□生存if
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煉獄「……??」

千寿郎「…兄上??」

煉獄「………、、」

千寿郎「っ…兄上っ!兄上っ!!」

眞寿郎「杏寿郎…!!」



杏寿郎が目を覚ますと、ボロボロと涙をこぼす弟と父の姿が目に入った

千寿郎は涙を流しながら何度も何度も「兄上」と杏寿郎を呼びかける

重たくて目を開けるのがやっとだったが、硬くなった口を開いて、腹に力を入れて声を出した




煉獄「…せん、…じゅろう…、ちちうえ……、、」









ーーー






煉獄「……??」

ふと窓際に目をやると、まだ冬だというのに、窓辺に置かれた花瓶の枝から、桜の花が咲いていた

しばらくその美しい花を見つめていくと、ガラリとドアが開いて、千寿郎がニコニコと入ってくる



千寿郎「兄上、柱のみなさんから贈り物です!いっぱい届きました!」

煉獄「…千寿郎、」

千寿郎「??どうしました??」

煉獄「……冬なのに桜が咲いている、、」

千寿郎「…あ!笑、不思議ですよね、、俺も驚きました。実は、兄上が寝込んでいる間にひとみさんが来てくださって、兄上が目を覚ますようにと、願掛けをして置いていってくれたんです」

煉獄「ひとみが……??」

千寿郎「はい、丁度花が咲いた頃に兄上が目を覚まして…、きっとひとみさんの願掛けの効果ですね笑」

煉獄「そうか、、、ひとみは元気そうだったか?もうしばらく会っていない」

千寿郎「はい。兄上の分も、たくさん鬼を狩るとおっしゃられていました。とても頼もしくなりましたね、ひとみさん」

煉獄「そうだったか、、、それは頼もしいな笑、、、」

千寿郎「こちらに戻られてる間は、毎日来てくださっていました。任務に行ってしまいましたが、きっと帰ってきたらまた来てくださいます!」

煉獄「うん。千寿郎、要を使ってひとみに無事を知らせてくれないか?」

千寿郎「はい!!」




ーーー





「カァー!!カァー!!」

千寿郎「兄上!手紙がたくさん届きましたよ!」

煉獄「そうか!ありがとう、要」


杏寿郎の鎹ガラス、要から千寿郎が手紙の束を受け取り、ベッドに座る杏寿郎に手渡す


千寿郎「炭治郎さんや蜜璃さんですね!」

煉獄「うむ!宇髄のもあるな!……」


手紙のたばをめくって差出人を確認してから、杏寿郎が小さく息をついた

今日もひとみからの手紙はない

炎柱になってから、忙しさが増したこともあり、ひとみと手紙を交わすことがめっきりなくなってしまった

それに、最後に任務が一緒になった時のこともあり、彼女とは変な距離が生まれたままであった

いつも心の奥底で気には止めていたものの、炎柱となったからには、自分のプライベートにうつつを抜かしている場合ではないと、あまり気にしないように彼女のことから目を逸らしていた

もしかしたら、ひとみも自分のことを嫌いになったかもしれないと…

事実、あの任務中に一言注意をした時から、彼女はものすごく距離を取ってきていた







千寿郎「…どうしました??」

煉獄「いや、、ひとみから返事が来ていないなと思ってな」

千寿郎「そうですね、、どうかされたんでしょうか、、」

煉獄「読んでくれているとは思うが、、」

千寿郎「…!!大丈夫ですよ兄上、きっと任務が忙しいんです!」


珍しく落ち込んでいる様子の兄に、千寿郎があわあわと励ます



千寿郎「任務が終わったらまたくると言っていましたから!すぐに来られますよ!」

煉獄「うーんそうだと良いな、、」

千寿郎「絶対にそうです!早く来ると良いですね、ひとみさん」

煉獄「うむ、早く会いたい!」

千寿郎「笑、、
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