きめ

□罪転生
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甘露寺「煉獄さん、ひとみちゃんのこと…大丈夫だったんですか??」

煉獄「うむ。お館様と話をして、猶予をいただけることになった。処罰も、酷いことにはならなそうだ」

甘露寺「それなら良かったです。…何があったか、ひとみちゃんとは話せましたか??」

煉獄「……ひとみは話してくれなかった。きっと、俺にも話せないような…辛いことがあったのだろう。だが、自分のしたことを悔いているし…それに…」

甘露寺「……??」

煉獄「……駆けつけた隊士と顔見知りでな。聞いたんだ,その時の様子は異様だったと。…ひとみが一方的にやったようには見えなかったと言っていた…」

甘露寺「……藤の家紋の宿で起きたんでしたっけ…??」

煉獄「うむ…。」

甘露寺「……??どうしたんですか??」

煉獄「……気になることがあってな…」

甘露寺「…気になること…??」

煉獄「…殺された隊士と、目撃した隊士はひとみの部屋にいたらしい…2人は別の部屋に泊まっていたのにだ」

甘露寺「……それって…ひとみちゃんと顔見知りだったんですかね…」

煉獄「うーん……ひとみのことを悪く言いたくないが、ひとみは話せないし器用ではないから、甘露寺以外に打ち解けた隊士がいるとは思えない。ましてや…部屋に呼ぶことはないだろう…」

甘露寺「…確かに部屋に呼ぶって…相当信頼関係がなければしませんよね…男女ですし…」

煉獄「……相引きの線も疑ったが…2人という時点でそれはないだろう」

甘露寺「…2人じゃなくてもそれはないと思いますけど、、(ひとみちゃんは煉獄さんが大好きだし、、)」

煉獄「……ひとみが俺にも話してくれないことだから…よほど嫌なことがあったのだろう…その前に家に帰った時も、様子がおかしかった」

甘露寺「……煉獄さん…」

煉獄「む…??」

甘露寺「ひとみちゃん、前に煉獄さんの屋敷であった時に、頬に怪我をしていませんでしたか??布を貼って…」

煉獄「…うむ、そうだったな、俺も気になっていた」

甘露寺「あれ…違和感を感じたんです…次にあった時になくなっていて、大した傷ではなさそうだったのに、どうしてあんなに厚く手当をしていたのかと…」

煉獄「…そうか、、確かに違和感があった。だが何故…」

甘露寺「…わたし…今回の事件と関係があるような気がして…、、一つ…仮説を立てたんです…」

煉獄「仮説とは…??」

甘露寺「……もしあの傷が…仲間の…日輪刀で付けられた傷なら…ああいう風に隠すんじゃないかって……」

煉獄「………」



甘露寺の仮説に、ぴたりと足を止めてしまった



甘露寺「……もしかして…襲われたのは…亡くなった隊士じゃなくて…ひとみちゃんの方だったんじゃないですか…??」

煉獄「………」

甘露寺「それに……言いにくいですが…宿で男2人が夜中にひとみちゃんの部屋に行くって…なんだか…、、、」

煉獄「………」



甘露寺の仮説は、妙にすんなりと頭に入った入った

それなら全て合点がいく

今まで違和感を感じたことも、ひとみが本当のことを打ち明けたくない理由も…




煉獄「ありがとう甘露寺…帰ったら、またひとみと話をしてみる。こちらから話せば、反応してくれるかもしれない」

甘露寺「はい、、、」

煉獄「早く任務を終わらせねばな!」

甘露寺「はい…!!!」




「煉獄さん…!!!!煉獄さん!!!」



甘露寺と話をしながら任務に立とうとした時だった

後ろから隊士の呼び声がきこえ、俺たちは足を止めて振り返る




煉獄「む…?どうした」

「はぁ、、はぁ、、大変です!!ひとみが…牢から逃げ出して…!!」

煉獄「…!?」

「居場所がわかりません、、今隠しと、近くにいた隊士が総出で探しています、、早くしないと、処罰もどうなるかわかりません」

煉獄「わかった。俺もすぐ行く。…甘露寺」

甘露寺「私も探します!」

煉獄「うん。頼んだぞ」




鬼殺隊本部付近にもどり、あたりを駆け回ってひとみを探す

一体何故…牢を抜け出した…

どうにかするから心配するなと伝えていたのに、ひとみならこんな反発めいたことはしないはずなのに…

考えるな、今はとにかくひとみを探せ








ーーー





甘露寺と手分けして数分、心当たりある場所を探したが、ひとみの姿は見当たらなかった


煉獄「…一体どこに……」


牢から抜け出したとなれば、さすがにお館様ももう猶予をくださらないかもしれない

自分だって、もう庇い切ることはできない

とにかく一刻も早く探し出さねばならないというのに、







甘露寺「煉獄さん…!!」

煉獄「…??甘露寺…!ひとみは見つかったか」

甘露寺「はい…、、煉獄さん、すぐに本部の裏の林に来てください」

煉獄「……甘露寺…??」


甘露寺は息を切らしながら、真っ青な顔をしていた

その顔に、嫌な予感がしてゾワッと身の毛がよだつ



煉獄「……甘露寺、…ひとみは無事なのか…??」

甘露寺「……ひとみちゃんが…、ひとみちゃんが…」

煉獄「………」

甘露寺「っ……、、自害していました…遺体が…林の中で…見つかったそうです……」

煉獄「………」



甘露寺の言葉に、頭が真っ白になった

俺はてっきり、ひとみは恐怖のあまり逃げ出したのかと思っていた

処刑されないよう、見知らぬ土地まで走って逃げようとしているのだと

「来れますか?」と心配そうに問う甘露寺に、ひとつ返事だけして足を早めて現場へと向かう


現場には数名の隠しや隊士がいて、自分をみるなり深く敬礼した

地面にひとみかと思われる遺体があり、白い布がかけられている

その横に胡蝶がかがみ、遺体の様子を見てくれているようだった




胡蝶「煉獄さん……」

煉獄「……胡蝶、…ひとみは…」

胡蝶「……、、、」


俺からの問いかけに俯く胡蝶は、そっと白い布を外してくれた

そこには血塗れで眠るひとみの姿があった

その顔が目に入った瞬間、四六時中身につけていた全集中の呼吸が止まった

俺はそっとひとみの元にかがみ、頬に手を伸ばす




煉獄「………」

胡蝶「……死後30分というところだと思います。返しをつけなかったから、きっと長いこと苦しかったでしょう。すぐに見つけてあげられなかったのが残念です…」

煉獄「……そうか。……辛かったな、…もう大丈夫だ」


そっと頭を撫でてやるが、ひとみの表情は硬直したまま1ミリも動かなかった

いつもなら満面の笑みで喜んでいたのに…



胡蝶「……煉獄さん、あなたに、謝らなければなりません」

煉獄「……何故だ」

胡蝶「…私は勘違いをしていました。先日の柱合会議で、彼女のことを…心の弱い子なのだと、決めつけていました」

煉獄「………」

胡蝶「…煉獄さんのような育てがいながらあのような事件を起こして、不甲斐ないなと感じてしまいました。煉獄さんが不憫だと」

煉獄「………」

胡蝶「…でも違った。大きな間違いでした。ひとみさんは…とても心が強い子だったのですね、、…でないと、返しもつけずに切腹なんてできません。私でも無理でしょう」

煉獄「………」

胡蝶「…ひとみさんの傍に遺書がありました。お館様宛てだったので、先程隠しの方に持って行ってもらいました。ひとみさん、…あなたが代わりに処刑をされると、勘違いされていたみたいです」

煉獄「……!!」

胡蝶「……あの事件の真相も書いてありました。お館様が読まれて、対処してくださると思います。」

煉獄「………そうか……」

胡蝶「………」

煉獄「…胡蝶」

胡蝶「……??」

煉獄「……少し、ひとみと2人にしてくれないか。最後に少し、話をしたい」

胡蝶「……わかりました」



俺が静かにそう頼むと、胡蝶は立ち上がり、甘露寺や他の隊士たちに一時撤退の命令をして、その場からいなくなった

あたりが静まり返ると、俺はひとみの遺体を抱き上げて、両腕の中で強く抱きしめた




煉獄「……約束…していただろう、また皆んなで…花見をしようと、卵焼き…作ってくれると言っていたではないか」
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