きめ

□現代
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ひとみ「んーー、、、、」

ようやくやってきた土曜日に、まだ眠り足らないとベッドの中でもぞもぞする

ぴろん…とスマホからメッセージ音が鳴り響くので、腕を伸ばしてスマホを手にすると、煉獄からメッセージが届いていた


煉獄『おはよう!今日は天気が良いな!良い休日にしてくれ!』


朝から元気の良いメッセージに、自然に頬が緩む

休日出勤だというのに、清々しいな、、と煉獄への尊敬心がさらに高まった


ひとみ『おはようございます!ありがとうございます。今日も一日頑張ってくださいね!』

そう返事をしてから、よし…!とベッドから飛び出る

煉獄からのメッセージで、ぐだぐだする気分はすっかり抜けて、今日は朝から健康的に過ごす気満々になった

今日は昼間から友人の指原と買い物に行く約束をしている

いつもならギリギリまで家でぐだぐだするが、すぐに起きて、朝食を食べてから軽く家の掃除を済ませ、身支度を済ませてから、散歩がてら早めに家をでた

煉獄の言う通り、今日はとても天気が良さそうだ








指原「へー!!煉獄さんとうまく行ってるんだ!!」

ひとみ「うん…!!私は大分大好き笑」

指原「まさかひとちゃんがあの合コンから本当に彼氏をゲットするとはね…しかもイケメンだし、公務員だし」

ひとみ「イケメンか公務員かはどうでも良いけど、煉獄さんはすっごく優しいよ」

指原「誠実そうだよね!まさか宇髄さんがあんな良い人を紹介してくれるなんて…良いなぁー!!」

ひとみ「ふふ、、」





ーーー







ひとみ「えー…、、合コン…??」

指原「良いでしょう!?1人足りないの、、お願い!!」

ひとみ「うーーん、、、でも…」

指原「いるだけで良いから!!ひとちゃんは頑張らなくて良いって!」

ひとみ「うーん、、、、」

指原「ね…??お金はあっちもちだから!!」

ひとみ「お金は良いんだけど、、合コンはなぁ、、、」

指原「なんかあったらフォローするから!!」

ひとみ「むーー、、、」

指原「ね!?フリーになったんだし、良いでしょ!?この先出会いないよ!?」

ひとみ「………わかった、、、」

指原「本当!?ありがとうっ!さすがひとちゃん!!」

ひとみ「むぅ、、、」


数ヶ月前

数年付き合っていた彼氏と嫌な別れ方をして、恋愛する気力もなくなっている最中、友人の指原から合コンのセッティングを持ち込まれた

人数稼ぎ、と言いつつ、指原は面倒見が良いので、このまま何もしない自分を心配して合コンに呼んでくれたのだろう

指原は顔が広く、人が足りないなんてことはありえない

指原の気遣いを無駄にしてはいけない、と理解しつつも、合コンは大の苦手だった

行くと決めたからには、皆んなの足は引っ張らないように、それなりに可愛い格好に、髪もメイクもしっかりセットして約束しているレストランにむかった

とりあえずまずはお酒で乾杯をして、1人ずつ自己紹介をする、ありきたりな流れだ


ひとみ「ひとみです。大学で事務をしています。よろしくお願いします」

自分の番が回ってきて、簡単に自己紹介すると、相手側の男性陣が盛り上げるために「まじで!?どこ大!?」などと話を進めてくる

そういうぐいぐいな乗りが苦手なことをよく知っている指原が横から「まあまあ」と別の話題に切り替えてくれて助かった


ひとみ「……??」

話が別の方向にむかいほっと一息つくと、向かいの男性が、驚いた表情でこちらを見つめていた

名前が「宇髄天元」とかなり珍しい名前で、装いも派手だったので、彼のことはすぐ覚えられた

明らかに自分の苦手なタイプだ

ぴたりと目があってしまったが、怖くて目線を逸らし、周りの話に必死に頷いた

そのうち話しが個々に散らばり始め、1人の男性から「ねぇねぇひとみちゃんさ…」と詰め寄られる

趣味の話から、仕事の話と、色々と質問攻めにされ、そのうち「職場はどこ」とか、「家はどこ」とか、「帰り送ろうか」など、嫌な話になってきて、指原に助けを求めようとした時だった


宇髄「そろそろ良いだろ??次、俺の番」


話を割って入ってきたのは、またもや宇髄天元だった

身なりが派手だから、彼がある程度周りより地位があるからなのか、男性はすぐに彼にポジションを譲った

宇髄が隣に座ると、その体格のデカさ、こわさにびくりと身を震わせた


宇髄「そんなびびるこたねーだろ」

ひとみ「す、すみませんっ…」

宇髄「お前さ…」

ひとみ「……??」

宇髄「俺の顔に、見覚えはねーか??」

ひとみ「へ……??」

宇髄「………」

ひとみ「……??ないと思います、、宇髄さんみたいな方とお会いしたら覚えてるかと、、」

宇髄「なんだそりゃ」

ひとみ「あ、いや、派手なので…」

宇髄「そうか…。まぁオレは派手派手よ。」

ひとみ「…どこかでお会いしましたか??」

宇髄「…いや、何でもねぇ」

ひとみ「……??」

宇髄「お前、彼氏はいるのか??」

ひとみ「ぁ、いえ…、、」

宇髄「彼氏募集中ってとこか??」

ひとみ「…募集はしてないです」

宇髄「はぁ??じゃあ何で来てんだよ合コンなんか」

ひとみ「す、すみませんっ、わたしは埋め合わせで…」

宇髄「なるほどね、、」

ひとみ「……、、、」

宇髄「まあー俺もそんなもんだから、そんなビクビクすんな」

ひとみ「ぇ、ぁ、宇髄さんも…??」

宇髄「女には困ってない」

ひとみ「……言動も派手ですね」

宇髄「あぁ!?」



それから、結局宇髄は合コン終了までずっと話しかけてくれていた

他の男が話しかけても、「今俺が話してる」と追い払ってくれて、内心とても助かった

もうお開き…というところで、LINEを交換しようと言われ、悪い人ではなさそうなのでLINEを交換した

合コン終了ご、指原と反省会と称された飲み会に繰り出すと、宇髄に気に入られていたことを指摘された


指原「いや、絶対にあれはひとちゃんキープだった!!」

ひとみ「そうかなぁ。女には困ってないって言ってたよ?それに派手だし」

指原「たしかに…あんなイケメンだったらモテそうだよね、、遊び疲れて逆にひとちゃんみたいなのに癒やされたいんじゃない!?」

ひとみ「そーゆー感じはしなかったけど、、」

指原「でもLINE交換したんでしょ??」

ひとみ「うん、、」

指原「絶対今日連絡あるって!!連絡きたら教えてね!」

ひとみ「うん、、笑」



指原の予想通り、その晩の夜中に宇髄から連絡があった

内容は「今度友人も含めて食事しないか」というものだった

つまりは…



指原『なるほどねー、、別の女紹介しろってことかな』

ひとみ『でもさっしーでも良いか聞いたら良いって言ってたよ?』

指原『え!?本当!?じゃあなんだろう…マルチか宗教かな』

ひとみ『こわいねぇ、、』

指原『あの人やたら金目のもの身につけてるし、有り得そうじゃない!?』

ひとみ『ありそうだね、、、さっしー、一緒に来てくれる…?断るのもなんだか悪くて…』

指原『行くの!?珍しいねひとちゃん…』

ひとみ『宇髄さん良い人そうだったし、お食事くらいなら良いかなって』

指原『もしかしてイケメンだから気に入った?』

ひとみ『ちがうよ笑、、派手派手だったし、、』

指原『だよね、、私は良いよ!イケメン仲間がくるかもしれないし!』

ひとみ『良かった、ありがとう』

指原『マルチだったら上手に逃げなきゃね』

ひとみ『逃げ方調べておく!!』

指原『そんなん調べなくても大丈夫だよ…(相変わらず天然だなぁ』



指原からも承諾を経て、次の土曜日に、宇髄と宇髄の友達、ひとみと指原の4人で食事に行くこととなった

場所は宇髄が予約をしてくれた、高層ビルの最上階にあるなかなか良さそうなレストランだった


ひとみ「すごい…!良さそうなレストランだね!」

指原「良いじゃん良いじゃん!お金持ちかもしれない!」

ひとみ「笑、、、」


指原と2人でレストランに入り、宇髄の名前を伝えると席へととおされた

そこには既に宇髄が到着していて、宇髄の隣には、炎のような綺麗なオレンジの髪の男性が座っていた

男性はひとみが来るなり、目を見開いて真っ直ぐひとみを見つめる


ひとみ「こんばんは」

指原「すみません、お待たせしました!」

宇髄「おう。こいつは…」

ガタッ…!!

と、宇髄の言葉を遮って男性が立ち上がり、真っ直ぐにこちらに目を向けた


煉獄「…俺は煉獄杏寿郎だ!よろしく頼む!!」

ひとみ「………」


煉獄のあまりの勢いに
ぽかん、、、、
とひとみも指原も唖然とした



宇髄「オイ、煉獄…落ち着けよ…」

煉獄「…ハッ!すまない!驚かしてしまったか!」

指原「だ、大丈夫です!ね??」

ひとみ「うん……」


真っ直ぐに煉獄と瞳を合わせると、瞳の中がまるで炎が灯ったように熱くゆらめいていた



指原「…ひとちゃん??」

ひとみ「…ぁ、…ひとみです!今日はどうぞよろしくお願いします!」

煉獄「あぁ!よろしく頼む!!」


とりあえずこちらもしっかり挨拶せねばと、勢いよく頭を下げて真っ直ぐ煉獄と目を合わせると、にこりと煉獄が笑ってくれた



指原「煉獄さんは、宇髄さんとどーゆーご関係なんですか??」

煉獄「宇髄とは職場仲間だ!出身の高校も同じでな、長い付き合いになる」

指原「じゃあ学校の先生なんですね??」

煉獄「うむ!歴史の授業を担当している!」

ひとみ「ぇ!?宇髄さんって学校の先生だったんですか!?」

煉獄「む、知らなかったのか??」

宇髄「俺は自己紹介で話したぞ?お前が聞いてなかっただけだろ!」

ひとみ「そうなんだ…!!派手なのに!!」

宇髄「そこ関係あるのか…??」

ひとみ「歴史ということは、高校ですか??」

煉獄「うむ!うちは中高一貫なのだが、俺たちは高校の教師だ」

ひとみ「そうなんですね!」


煉獄が真っ直ぐにこちらを見てくれるので、普段は初対面は苦手だったが、すんなりこちらも目を合わせてしゃべることができた

それからお互いの紹介話を踏まえ、








ひとみ「煉獄さんはどうして教師を目指されたんですか??」

煉獄「うむ!人の面倒を見るのが好きでな!それに、誰かの道標になるような大人になりたいと、高校の頃から思っていた!」

ひとみ「高校の頃から…!すごい…!教員免許って取るの大変なのに、煉獄さんはすごいです!」

煉獄「はは笑、そんなことはない。人一倍努力したつもりはあるが、他の職種に比べれば、教師への道はルートが定っているし、シンプルだと思うぞ!」

ひとみ「
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