きめ

□現代
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煉獄「いただきます!!…うむ!うまい!!」

宇髄「……煉獄、最近やけに機嫌良いな。派手に良いことでもあったのか??」

煉獄「うむ!!実は!恋人ができた!!」

宇髄「ほぉ〜。……は!?!?!?」



同僚同士である煉獄と宇髄がいつものごとく、学校の近くの定食屋で昼食を取っていた

宇髄がなんとなくした質問に煉獄が驚きの返事を返すので、宇髄が大声をあげ、聞き返す



宇髄「な、なんつった!?」

煉獄「聞こえなかっただろうか!恋人ができた!だから最近はすこぶる調子がいい!」


「いつもだが!」と付け足しながら定食の生姜焼きを口に運ぶ煉獄に、宇髄は驚きを隠せなかった

2人は今となっては鬼滅学園の教員だが、高校時代からの付き合いであり、宇髄は煉獄の若かりし頃の恋愛ごとを把握していた

煉獄には大学時代に交際していた相手がおり、宇髄もよく共に遊んだりしていた時期があった

昔から真っ直ぐで真面目な性格の煉獄は、就職して先の見通しがついたら彼女と結婚するつもりだと言っていて、彼女もそのつもりのようだったから、煉獄が結婚する日は近いだろうと思っていた

しかし

大学を卒業して、煉獄は教師に、彼女は一般企業に勤めることになり、関係は徐々に変わっていった

とくに教師という仕事は特殊な仕事でもあり、初年度はそれはそれは大変だった

他の教員や職員たちと協力して行う一般的な事務仕事と並行して、メインとなる授業の準備や、教材の作成、そして生徒たちの指導をしなければならない

加えて若手は一人ずつ担任のクラスも持たねばならず、おまけに煉獄の真面目な性格もあり、社会人一年目は煉獄が仕事に没頭することとなり彼女との時間は極端に減った

それでも煉獄の彼女に対する愛情は変わらなかったが、彼女の方は不満や不安が強かったようで、宇髄はたびたび2人が喧嘩しているような空気を感じとっていた

そんな社会人一年目の冬に、宇髄はたまたまデートの最中に煉獄の彼女と蜂会ってしまった

彼女は煉獄ではない別の男性と腕を絡ませており、宇髄と目を合わせると動揺してから、ひどく気まずそうな顔をした

その日の夜、繋がっていたSNSのメッセージを通じて、彼女から宇髄に連絡がきた

『杏寿郎には言わないで』


傷つけたくないから…

会社の先輩で、接待だっただけで…

そんなような言い訳をつらつら言われて、宇髄は心底頭にきた

もちろん、宇髄も煉獄を傷つけたくないから、余計なことは言うつもりはない

『お前からちゃんとケジメをつけろ。煉獄と付き合うなら、他の男とはもう会うな』

腹が立つ想いを抑えて、彼女にそう注意喚起をしめした

わかった。もう会わない。

そうすぐに返事が来たが、このさき、煉獄が傷つくことになるのではないかと薄々予感していた



そんな予感を抱えてすぐ…


宇髄『なんだよ?派手にアドバイスがほしいって』

煉獄『うむ!実は、どれが良いか自分では決めきれなくてな…笑、、』

宇髄『……』


昼休みに「相談したいことがある」と煉獄に呼び出された宇髄

もしかしたら彼女が先日のことをちゃんと話したのかもしれない、そう少し期待をしたが、煉獄は宇髄にとあるパンフレットを差し出してきた

目の前で開かれるクリスマスジュエリーのパンフレットに、宇髄は固まった



煉獄『この3つで悩んでいるんだ!!』

宇髄『……指輪か??』

煉獄『うむ!!実はな、クリスマスにプロポーズをしようと思っている』

宇髄『………』


ぽりぽり、、と少し照れ臭そうに頬をかく煉獄は、幸せそうにしていた



宇髄『…アイツと結婚すんのか??』

煉獄『うむ!少し予定より少し早いが、貯金もそれなりに貯まってきたし、早いに越したことはないだろう!』

宇髄『…そりゃあそうだが、、…アイツとは話したのか??』

煉獄『いや、サプライズにしようと思っているんだ。まだ話はしていない』

宇髄『…ふーん、、』

煉獄『だが、学生時代から就職したら行く行くはと先の話はしてあったしな!』

宇髄『…なるほどねぇ、、けど、最近喧嘩ばかりだったんじゃないのか??』

煉獄『確かに、最近はぶつかることも多かったが、俺に余裕がないのが原因だとわかっている。そろそろ仕事にも慣れてきたし、これからはもっと、ウミカとの時間を増やすつもりだ!』

宇髄『…ふーん、、』

煉獄『それに、ここ数日ウミカも凄く優しくなって、学生時代のようにたくさん連絡をくれるようになったんだ!!良い兆候だと思う!』

宇髄『………』


それは良い兆候なんかじゃない…

経験豊富な宇髄はすぐにそう感じとった


煉獄『それで、どれが良いと思う!宇髄』

宇髄『ん〜〜…』

煉獄『こういうのは君の方がセンスが良いからな!!』

宇髄『お前の彼女の趣味ね〜、、…クリスマスに会うのか??』

煉獄『残念ながら当日は仕事で都合がつかないらしい、、クリスマスの前夜に会う約束をしている』

宇髄『………』


煉獄から告げられた話に、宇髄は眺めていた指輪のパンフレットをそっと煉獄に突き返した


煉獄『ん…??どうかしたか?』

宇髄『すまん煉獄』

煉獄『……』

宇髄『俺は選べねえ』

煉獄『……あぁ、すまない笑、こういうのは自分で選ぶべきだったな』

宇髄『そうじゃねぇ』

煉獄『……宇髄…??』

宇髄『……お前の彼女は、…新しい男がいる。プロポーズはやめとけ』

煉獄『………』


言うつもりはなかったが、幸せそうに彼女を想う煉獄を前に、このまま送り出すことはできなかった



宇髄『…すまん煉獄』

煉獄『…どういうことだろうか』

宇髄『はぁ、、、…2週間前にたまたま会ったんだわ、、アイツ、他の男と腕組んで歩いてたぞ??』

煉獄『………』

宇髄『…俺から言いたくなかったから、自分で言えって言ったけどよ。…クリスマスも、どうせそいつと会うんだろーよ』

煉獄『……そうか…』

宇髄『……プロポーズの前に、ちゃんと話し合った方が良いと思う』

煉獄『……そのようだな、うん』



宇髄がそういうと、煉獄は眉を下げて笑ったから、指輪のパンフレットをカバンにしまった

その次の週に、煉獄からいつもの活気の良い挨拶が聞こえなくなって、宇髄が声をかけたところ、彼女と別れたとのことだった

話を聞けば、煉獄はそれでも彼女とやり直そうとしていたようだったが、彼女の方は話をしたらしたで、煉獄への罪悪感と、結局のところ本当はずいぶん前から煉獄への気持ちが冷めてしまっていたこともあり、こうなった以上やり直すのは無理と言われたそうだ

なんだそりゃ、最低な女だな…と宇髄が言えば、煉獄は苦笑いして

煉獄『いや、彼女は悪くない。俺が悪い。就職してから自分の話ばかりで、彼女の話を何も聞いてやれていなかった。彼女から話をするタイミングも、俺が失くしてしまっていたのだろう』

と、自分を責めていた。

とりあえず1週間元気のない煉獄を見守ってから、その週末飲みに連れて行くと、宇髄は初めて煉獄が泣くのを目にしてひどく驚いた

随分酔っ払っていたのもあるだろうが、煉獄はそれほど彼女を大切に思っていて、ひどく自分を責めて、傷ついていた

次の日の朝まで自宅で介抱して、次の週からようやく元通りの元気な煉獄にもどってはいたが、ふとした瞬間にまだ落ち込んでいる様子が垣間見えた

こんなに落ち込んでいる煉獄を見るのは初めてで、宇髄をはじめ、周りの仲間たちがあの手この手で励ましたが、それからしばらく飲み会や遊びにも顔をださなかった

煉獄が本当に本調子に戻るのには数ヶ月かかり、その後は仕事一本、生徒命でやってきて

宇髄がたまに合コンに誘ったり、知り合いを紹介して、彼女…と呼べそうな相手ができかけてはダメになって

そうしてここ数年、煉獄にはちゃんとした恋人がいなかったので、急に誕生した煉獄の『恋人』に宇髄も動揺を隠せなかった





宇髄「……見合いか??」

煉獄「いや!違うな!!見合いは全て断っている!」

宇髄「じゃあどこで出会ったんだ?」

煉獄「……居酒屋だな!!」

宇髄「居酒屋!?」

煉獄「うむ!出会いはそうだ!!」


居酒屋で出会った

そう聞いただけで、ろくでもない女じゃなさそう、そう感じとって警戒心を募らせる宇髄



宇髄「大丈夫なのか??ソイツ」

煉獄「む?…大丈夫とは??」

宇髄「……逆ナンってやつだろ?お前からナンパはしないだろうし」

煉獄「…逆ナン…というのが俺にはよくわからんが、声を掛けたのは俺だ!」

宇髄「お前が!?」

煉獄「うむ!といっても、ナンパ目的ではないがな!それから色々縁があってな!」

宇髄「よくわからんな、、、身元はわかってんのか??」

煉獄「うむ。勤め先も知っているし、そこは大丈夫だ」

宇髄「へぇ〜、、、」

煉獄「…心配してくれているのか?笑」

宇髄「そりゃあ、、居酒屋で出会ったなんて聞いたらな、、」

煉獄「ははは笑、まあ彼女とは色々あったんだ!今度飲みの席ででも話そう」

宇髄「おう…。まぁでも、お前が幸せなら良いんだけどよ。おめでとさん。」

煉獄「ありがとう!とても幸せだ!」


いつになく満面の笑顔の煉獄に、しばらくは見守るか、、と宇髄がため息を漏らした




ーーー




甘露寺「…え!?!?煉獄さんに恋人が!?」

宇髄「初耳だろ??」

甘露寺「全然知らなかったです!!女の人の影ももうずっとなかったですし、、」

宇髄「だよな〜、
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