きめ
□鬼転生
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ひとみ「へ…??一緒に…??」
煉獄「うむ!!!どうだろうか!!」
目をキラキラさせながらいつもの通り元気よく問いかけてくるのは、数ヶ月前に交際をはじめた恋人だった
今日は外も寒いので一緒に家で映画を見ようと、煉獄さんの自宅に招いてもらった
綺麗なマンションに住む煉獄さんの家には数回来たことがあるが、広くて暖かくてとても居心地が良い
人気な私立校の正規の教員というだけあって、お給料をそこそこ貰っているのだろう,と、この部屋だけでわかる
自分の狭い部屋とは桁違いだ…
煉獄さんの家に来る前に、一度飲み会帰りに煉獄さんを自宅に呼んだ(というより自分が酔っ払ったので介抱がてら運んでもらった)ことがあることを後悔した
ここまで生活に違いがあるのが恥ずかしかったのだ
それからは自分の部屋には煉獄さんは招かず、こうして煉獄さんの家にお邪魔するようになった
リビングにあるソファに腰を下ろして煉獄さんのクッションをもふもふ、としながら、隣にいる煉獄さんとあれこれ話しながら映画を観ていると、ふと煉獄さんが「そうだ!」と口を開いた
煉獄「ひとみ!!」
ひとみ「…??はい?」
煉獄「一緒に暮らさないか!?」
ひとみ「……へ??」
そして冒頭へと戻る
煉獄さんはよく突拍子もないことを言うが、今日のは群を抜いている気がする
ひとみ「ぇっと……、、」
煉獄「む…!一旦とめるな!!」
私がパニックでおろおろと映画のうつる画面と煉獄さんの目を交互にみると、煉獄さんがリモコンで映画を止めてくれた
ひとみ「……一緒に暮らすって、、一緒に住むってことですか…??」
煉獄「うむ!そうだ!!」
ひとみ「ど、どこで…??」
煉獄「う〜ん!ここじゃダメだろうか!?」
ひとみ「煉獄さんのお家で…??」
煉獄「うむ!!ひとみの職場からも適度な距離だし、一緒に暮らせば毎日会えるだろう?」
ひとみ「は、はぃ、、、でも…急に…?」
煉獄「ひとみと付き合いだした時から考えていたんだ!お互い一人暮らしだし、共に暮らせば生活費も浮く!それに毎日会えるし、良いことずくめだ!」
ひとみ「なるほど…!う〜ん…、、、」
煉獄「……あまり乗り気ではないか!」
ひとみ「乗り気じゃないわけではないんです!!ただ…」
煉獄「…??ただ…??」
ひとみ「……まだお付き合いして数ヶ月ですし、少し不安で…」
煉獄「不安か!どんなことが不安なんだ??」
ひとみ「…ぅーん、、一緒に暮らすことで仲が拗れたりしたらどうしようとか、、」
煉獄「それはないと思うが!!」
ひとみ「そんなことわかりません!私の怠け姿をみたら煉獄さんがどう思うか…!」
煉獄「はは笑、それは逆にみてみたいな!!」
ひとみ「一度みたらきっと笑い事じゃないですよ、、」
煉獄「そうだろうか、、俺としては最近休日もこうして2人でくつろぐようになったし、大して変わらないと思うのだが…」
ひとみ「…でも、、…わたし家事がとても苦手なんです。お片付けも、お料理も得意ではありませんし、、」
煉獄「片付けはわからんが、俺はひとみの料理が好きだぞ!」
ひとみ「それは煉獄さんのために練習をしている料理だから、、」
煉獄「俺は料理ができないから、毎日ひとみの作った食事が食べれたら嬉しいんだがな笑、、」
ひとみ「ぅ…、、それはずるいです、、」
煉獄さんのにこりとした笑顔にどきりとして、腕を組んでうーむと悩み混む
自分としても毎日煉獄さんといれたらこれ以上の幸せはないが、それが原因で煉獄さんとの仲に亀裂が入ることが心配だった
煉獄「…まあ回答は急がないから!考えておいてくれ!」
ひとみ「は…はい、、」
悩んでいる私の姿に、煉獄さんがぽむちと肩をたたいて安心させてくれた
そしてリモコンでまた映画の続きをつけると、「敵のアジトに乗り込んだところからだったな!」と映画の話にパッと切り替わった
私はと言うと、自分で返事をしないでおきながら、先程の話が頭からはなれず、ぼーー、、、と画面をみてから返事をした
ひとみ「…煉獄さん」
煉獄「む??どうした!」
ひとみ「あの、、わたし、煉獄さんと住むのが嫌なわけじゃないんですよ??」
煉獄「…?はは笑、わかっている。大丈夫だ」
ひとみ「でも、、あの、その…」
煉獄「そのことはまたじっくり考えてくれて良い。困らせてしまって申し訳なかったな、、」
ひとみ「………、、、」
煉獄「…さ!この話は終いだ!!…む!?敵が乗り込んできたぞ!!!」
ひとみ「……あの、、、」
煉獄「これはまずいな!」
ひとみ「……煉獄さん!!!!」
煉獄「!?」
わたしが思い切り声を上げると、煉獄さんは珍しく驚いた表情でこちらをみた
煉獄「…どうした!!」
ひとみ「わ…わたし……やっぱり煉獄さんと暮らします!」
煉獄「………」
ひとみ「きょ、今日から暮らせば良いですか!?明日から?…来週から!?」
煉獄「……笑、、とりあえず落ち着きなさい、、」
ひとみ「でも、、、」
煉獄「その話はまた今度、ひとみがじっくり考えてからにしよう!」
ひとみ「ぇっ……、、、」
不安を抱えるわたしに、煉獄さんはふわりと眉を下げて笑った
煉獄「俺はひとみに無理強いしたくない。ひとみの意思で、決めて欲しいんだ」
ひとみ「む、無理強いじゃないです、、私が今…考えて…、、」
煉獄「パニックになっている時はよくないな!笑、俺は君の顔を見て、すぐに君の意思がわかるんだ。だから今、ひとみが本当はまだ少し不安なこともわかっている笑」
ひとみ「…そんな…、、、」
煉獄「笑、、…そうしたら、こうするのはどうだろう!ひとまず、今日は試しに家に泊まっていくというのは!」
ひとみ「……そうですね、…お泊まりしたいです!」
煉獄「うん!!ではそうしよう!」
ひとみ「…はい!!」
煉獄さんの提案にこちらもようやく安心して笑顔をつくると、ぐぃ、と煉獄さんが肩を抱き寄せてくれた
ひとみ「……ほ??」
煉獄「…夜が楽しみだな」
ひとみ「っ…/////