きめ

□転生
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ひとみ「……いない…」


会社の帰り道、乗り換え駅のスタバに入り店内を見渡す

いつもならこの時間に煉獄がいるはずなのに今日はいないようだった

なんだ、残念…と窓際の席に飲み物を置いて、重たい腰を椅子に下ろした

ここ最近は、仕事終わりのこの時間だけを楽しみにしていた

ひとみと煉獄は毎日同じ通勤電車に乗っていて、ある時を境にお互い挨拶をするようになり、その後お互いこの駅のスタバによく寄ることに気づいてからは、仕事終わりに落ちあって話をするようになった

いつも明るく前向きで真っ直ぐな煉獄に、気付けば恋心を抱くようになっていたひとみ

気付けば仕事終わりのこの時間が楽しみで、仕事もなるべく早く片付けて帰ってくるようになっていた

お互いの仕事の都合でこうして会えないことは稀ではない

特に約束をしているわけでもなく、連絡先も知らないくらいなので当たり前のことをだった

今日は不運だな〜

と思いながら、せっかくだからと席に座ってコーヒーをすすりながらビジネス本を開いた



しばらくパラパラと本をめくりながら、少し瞼が重くなってきたころだった

トントン、、と型を軽く叩かれてびくりと身体を反応させてから振り向くと、そこにはニコリと微笑む煉獄の姿があった



ひとみ「ぁ…煉獄さん…!」

煉獄「今日もおつかれさま!!隣良いだろうか??」

ひとみ「はい、もちろん!」


ビジネスバッグを机に下ろしてから隣に座る煉獄



ひとみ「お疲れ様です。残業ですか?」

煉獄「うむ。学生の補習に時間が掛かってな!」

ひとみ「大変ですね先生は…」

煉獄「ははは、サラリーマンに比べたらどうだろうな笑」

ひとみ「毎日たくさんの学生の面倒をみて、事務仕事こなした方が大変だと思います!」

煉獄「そんなことはないだろう笑、学生の面倒を見るのは楽しいしな!」

ひとみ「きっと天職なんですね」

煉獄「うむ!そのようだ!!…ミョウジさんは今日も勉強か??」

ひとみ「ぁ、はい…、、気休めなんですけど、、」

煉獄「毎日偉いな!!感心感心!」

ひとみ「そんなことないです、会社ではもっと勉強しろって、怒られてますから笑」

煉獄「む、そうなのか??毎日熱心にやっているのにな、、、」

ひとみ「実戦に活かせなきゃダメですね笑、」

煉獄「もしミョウジさんが俺の生徒だったら皆んなの前で胴上げして褒めてやりたいところだがな!」

ひとみ「それは恥ずかしいです、、、笑」

煉獄「ははは!笑、それはそうだな笑」


軽快に笑う煉獄の笑顔に、ひとみもくすりくすりと笑った



煉獄「そうだ!ミョウジさん、この辺のお店には詳しいか??」

ひとみ「この辺ですか?お店っていうと…」

煉獄「居酒屋だ!何か良い店を知ってないか??」

ひとみ「居酒屋ですか…!うーーん、、美味しい焼き鳥のお店なら知っています!」

煉獄「焼き鳥か!!良いな!!」

ひとみ「そこの焼き鳥、すっごく美味しいんですよ。お酒も色んな種類がありますし」

煉獄「ほう!!それは良いな。何という店なんだ??」

ひとみ「たしか、神鶏だったかと…」

煉獄「む、シンケイか…」

ひとみ「はい、神に鶏です」

煉獄「……これか!!」

ひとみ「はい!それです!」


隣でポケットからスマホをとりだし、検索をかけてヒットした画面をひとみに見せる煉獄

ひとみはその画面に頷いてから、「ふむ…」とそのページを読み込む煉獄とスマホを交互に見つめた




ひとみ「……居酒屋を探していたんですか?」

煉獄「あぁ、明日飲み会の約束をしていてな。店を探すように言われたんだが、どうも目新しい所が見つからなくてな!」

ひとみ「…!!そうだったんですね…」

煉獄「…??どうかしたか??」

ひとみ「ぁ…いえ!!良かったら行ってみてください、安くはないんですが」

煉獄「うむ!!明日はここにしようと思う!日本酒も豊富なようだしな!」

ひとみ「煉獄さんは日本酒がお好みですか??」

煉獄「うむ。職場の同僚も日本酒好きが多いんたま!きっと喜ぶと思う!」

ひとみ「ふふ、気に入ってくれると良いです!」

煉獄「行ったら感想を伝えるな!」

ひとみ「はい!…」


どうしよう、こういう時は連絡先を聞いた方が良いだろうか…

そんなことを思いながらスマホと煉獄を交互に見ると、視線を感じとった煉獄とばちりと目があってしまった



煉獄「ん??」

ひとみ「ぁ…!!そ、そうだ、これ、あげます!」

煉獄「…何だろうか?」

ひとみ「神鶏の割引券です!良かったら使ってください」

煉獄「む…!!良いのか!?」

ひとみ「はい、ぜひ」

煉獄「だがせっかくミョウジさんが持っていたのに…」

ひとみ「良いんです。わたししばらく行く予定ないですし、期限が切れたらもったいないので、」

煉獄「そうか、、ならばお言葉に甘えてもらうとしよう!ありがとう!」

ひとみ「はい!!」

煉獄「今度なにかお礼をせねば!!」

ひとみ「良いんです良いんです、気にしないでください」

煉獄「そんなわけにはいかない!
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