パラレルSS-T
□止まった時間-1-
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食堂で昼食を済ませた後、久しぶりに皆で手合わせをしようという話になった。
定期的にやってはいるが、エクソシストとしての仕事などでなかなか同期が全員は揃う事が無い。
しかし今日は全員が揃っているのだ。
ライアンはルートヴィヒは大喜びだ。
皆準備の為にはしゃいだまま出ていった。
部屋に残っているのは遅れて食事をした為に最後まで食べていたクロードとモネと、ヴィンセントだけだ。
ヴィンセントは毎回参加しない。
今日もいつものように、不参加を決め込んでいた。
「ヴィンセント、お前も来いよ。」
我関せずの態度のヴィンセントにクロードが声をかける。
「...いい。」
「お前全然参加しないだろ。」
ヴィンセントの態度にイライラしていた。
ヴィンセントが参加しない理由はわかっている。
自分たちを見るのが嫌なのだ。
自分たちを見れば嫌でも成長の止まったヴィンセント自身との違いを見せつけられる。
ヴィンセントが成長しない身体を気にしているのは知っているが、自分たちを避けるような態度がクロードは気に入らなかった。
「...。」
ヴィンセントは何も言わない。
我慢が切れたクロードはヴィンセントの腕を掴んで押し倒す。
「ヴィンセントッ!お前いい加減にしろよッ!悩んだって仕方ないだろ!!」
「...ッ!」
「皆心配してんだよッ!自分だけが辛いみたいな顔すんなよ!」
「...。」
「クロード...落ち着け。」
レオンがクロードを止める。
「...どけ。痛い。」
ヴィンセントを見ると怒りからか顔を赤くして瞳に涙を湛えている。
それでも泣くのを耐えているのだろう。
クロードはそんなヴィンセントを見てハッとした。
今自分はソファの上で一回り以上も身体の小さいヴィンセントにのし掛かり、両手首を押さえている。
その体制に慌てた。
「わ、悪いッ!///」
「...いいから退け。」
クロードが退けるとヴィンセントは走って出て行ってしまった。