Novel
□勝利の災難:前編
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「さぁ♪健ちゃん!あがってちょうだい!」
そんな彼の気持ちを知らない美子は村田を家に入れてしまう。
ガチャン
「こんにちは〜渋谷のお兄さん☆」
…なぜ俺の部屋に入ってくるんだ。
「…ここは有利の部屋じゃないぞ。弟のお友達。」
「わかってますよ♪でも挨拶は大事かと」
「…もういい出てって…」
…ピピピピ♪
出てけと言おうとしたらメールの受信音が鳴った。
「…?」
一瞬ボブかと思ったが携帯の画面をみると、知らないアドレスからのメールだった。
「…誰からですか?」
めったに携帯の鳴らない勝利の携帯が鳴ったのがよほど気になったのか、村田は携帯を素早く彼の手から抜き取った。
「あ…ちょっ…おい!返せよっ!!」
「だめですよお兄さん!知らない人からのメールは簡単に返信しちゃ…!」
村田がそう言うと勝利は黙ってしまった。
多分、知らないアドレスなので、"お前は誰だ"とか返信するつもりだったのだろう。
「あれ?!…このアドレスは眞魔国からのメールだ!」
「…あっちに携帯電話があるのかよ。」
やはり有利の兄である。ツッコミがはやい。
「……。」
村田は眞魔国からのメールを読んでいた。
勝利も一緒に読もうと携帯を覗き込んだがやはり異世界の文字は読めない。
すると村田はメールを読み終えたのか携帯を閉じ、
「…さぁ、行きましょう」
と言った。
「…行くってどこにだ。」
「眞魔国…渋谷のいる所ですよっ!!」
いきなり腕を引かれ気が付けばそこはもう…見知らぬ世界だった。
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