Novel
□勝利の災難:前編
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今日は天気の良い日曜日だ。
元気いっぱいの少年達が公園で野球やサッカーをして遊んでいる。
そんな中、渋谷家の長男:渋谷勝利はクーラーのきいた部屋で過ごしている。
いつもはギャルゲーをプレイしている彼だが、今日は違かった。
いつもは期限の7〜5日前に大学の課題を終わらせるはずの彼が今回、期限2日前だというのにまだ課題が終わっていなかった。
「…ヤバいな…集中できん。」
異世界、つまり眞魔国に行ったきりで帰ってこない弟の有利が気になってしょうがないのだ。
「しーぶーやーくん♪」
…来た。
うちの弟に馴れ馴れしい村田健。
「あらぁ☆健ちゃんじゃない!どーしたの??」
「あ!美子さん!いやぁ〜、有利くんに用がありまして☆」
人ん家の親と弟の名前を気安く呼ぶな。
玄関から僅かに聞こえてくる母と弟のお友達の声に、大学の課題が進まないストレスのせいか、苛立ちを覚える。