短編小説
□君のいない未来
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しばらくして、焼け跡から行方不明とされていた全員の遺体が発見された。
その中に、灰原…いや、宮野志保もいた。
面影のない、骨だけの姿で。
信じたくなかった。
信じられるはずもなかった。
あいつのことだから、何とか逃げ延びているだろうと信じる気持ちを止められなかった。
せっかく、元に戻ったのに。
すべてに決着がついて、あいつはこれから平穏に生きるはずだった。
過去のしがらみから開放され、自由に生きていくはずだった。
宮野志保の人生は、これからだったのに…。
それを、俺が摘んでしまった。
俺の、傲慢な自惚れのせいで…。
灰原を、宮野志保を殺したのは、俺だ―――。