本棚(TEXT)
□今すぐにでもそうしたかった
1ページ/1ページ
俺はずっと見てきたよ。
高校の時。
割れて粉々の片思い。春だというのに悲しいね。平気な顔をしても駄目だよ。
割れて砕けたシズちゃんの心。
それからは音が狂って歌えない。どんなに優しく歌おうとしても酷く耳に痛い。歌える振りをしても駄目だよ。
誰も聞かないシズちゃんの声。
とても汚れて誰も元に戻せない。ぽい、と簡単に捨てられてそれっきり。見るも哀れなその姿。綺麗になろうとしても駄目だよ。
誰も言わないシズちゃんの暴挙。
「ほんとはね、好きだよ、シズちゃん。あの頃の春は桜が散ってて綺麗だったね。」
隅で怯えることも無い。もう気難しい感情を抱くことも無い。逃げようとしても駄目だよ。
誰も見れないシズちゃんの綺麗な姿。
俺の大好きな赤だから。もっともっと大好きだよ。
end
解説という名のあとがき
なんという死ネタシリアス;シズちゃんの片思いの相手は臨也だったり(笑)
でも臨也は断った後の反応が面白そうでわざと酷い拒否(実は相思相愛)
それからは何をしても怒ってしまって誰からも必要とされなくなって、孤独となった時に臨也が出迎えて…
というシズちゃん可哀想すぎな展開。
でもこういうの意外とすきなんです(爆)