銀魂2
□二人だけの世界(沖新)
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この愛おしい気持ちがどうしたら伝わる?
どうしたら全てを手に入れることができる?
こんなに、こんなに想っているのに…
「海…」
「え?」
「僕、海に行きたいです」
「わかったでさァ、行きやしょう。海に」
新八はただ嬉しそうに笑った。
「寒いですねー冬の海は」
「あぁ、今、海に入ると死ぬんじゃないですかィ」
俺は新八の斜め後ろを歩き、新八は少し足早に崖の方へ歩いて行った。
「危ないでさァ…落ちますぜェ」
「平気ですよ…それに落ちたら沖田さんがすぐに助けにきてくれるでしょ?」
崖の頂上では新八が深呼吸をして、冷たい風に黒い髪をなびかせて
その姿はまるで今にもここを飛び立とうとする鳥のようだった。
無意識に掴んだ新八の腕は細かった。
「大丈夫ですよ。落ちたりしませんから」
「違う…違いまさァ…どこにも、行くなァ」
「………」
「……俺は、どうしたらお前さんを手に入れられるんですかィ」
柄にもなく自分より年下の少年に縋り付いて溢れ出る感情を止める事も出来ずに。
「僕はどうしたら貴方に全てをあげられるんですか?」
新八の大きな目からはいつくもの涙が溢れ出ていて、俺達はただ抱き合って泣くことしかできない。