青の祓魔師
□あの漫画のヒロインは、どっちのヒーローを選ぶのですか?
2ページ/2ページ
それから数日が経った。
いつものように雪男、燐、志摩が集まった。
「志摩君、これありがとうございました」
雪男の右手にはこの間話に上がっていた少女漫画が握られていた。
「大変面白かったですよ」
「そうですやろ?」
相変わらず燐を間に挟み話をする。すっかり慣れた燐も二人の会話をただ聞いていた。
「最終的にどっち選ぶと思います?」
「やっぱり生徒会長じゃないですか」
「やっぱりってなんですの?そこはクラスメイトやろ」
始めこそ二人は穏やかであったが、少女漫画の話なった途端、表情が変わっていた。
「元は生徒会長が好きだったんだ」
「過去の話や。振られてクラスメイトに慰められた後、好きになってますやん」
「やり方が汚い。弱ったところに付け込んで」
「生徒会長かてそもそも振ったのに今更好きになったって都合良すぎやろ」
少女漫画議論に熱くなる二人に燐は次第に飽きていた。
「なぁ、俺先行くぞ?」
「待ってよ。大事なとこなんだ」
「そうや。はっきりしとかんと」
未だ言い争うとする二人に向けて、どっちでもいいよと小さく燐は呟いた。
その言葉に、更に二人はヒートアップした。
「兄さん!!じゃあ聞くけど、兄さんはどっち派!?」
「え…」
「生徒会長とクラスメイト!!どっちが好きなんや!!」
「どっちって、そんな真面目に読んでねーし…」
二人に詰め寄られ、どっちを言ったら正解なのか燐はわからなかった。
「(どっちが正解だ?つーか正解ってあるのか?なんか二人怖ぇ)」
「「どっち!?」」
じりじりと寄ってくる二人から逃げる方法か少女漫画の正解といえる答えを出すのか、同じくらい考えるのが難しかった。
「(あぁ…あの漫画読んどけばよかった)」
燐は、あの生徒会長の優しい笑顔やあのクラスメイトの眩しい笑顔よりも目の前にいる黒いオーラを身に纏う二人の笑顔に目眩がしそうであった。
もちろん、悪い意味であるが。
あの漫画のヒロインは、どっちのヒーローを選ぶのですか?
end
雪男も志摩も自分達に重ね合わせて、燐に自分を選んでほしいのです。という話