青の祓魔師

□あの漫画のヒロインは、どっちのヒーローを選ぶのですか?
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燐は少女漫画はあんまり読んだことがなかった。
雪男のスクエアを勝手に読んでいて、恋愛漫画を目にしたことはあるけれど。

なんとなく少女漫画はキラキラして繊細なイメージがあり、近寄り難かったからである。

しかし、燐は後悔する日がくるのであった。

少女漫画を読んでおけばよかったと。


「兄さん、一緒に祓魔塾行こう」

教室を出たところで偶然にも雪男が立っていた。
雪男は時々、このように俺の教室までやって来て一緒に塾へ行こうと言ってくるのだった。

鍵一本でいつでもどこでも行けるのに。

「お前、いちいち迎えに来なくてもいいぞ?ちゃんと塾行くからさ」

正直、塾をサボらないか心配して来ていると思い、いい気持ちはしていなかった。

「その心配はしてないよ。僕が心配してるのは……」

「奥村くーん!!」

二人の背後から呼ぶ声は、雪男の心配の種である志摩であった。

内心、雪男は舌打ちをした。雪男は燐といるとき必ずといっていいほど志摩の邪魔が入るのであった。

「僕も一緒にええですよね?」

燐ではなく雪男に許可を得る志摩は手慣れていた。
燐を間に挟み、見えない火花が散っていた。

「そうそう、奥村君。この間貸した漫画、読んだ?」

志摩は燐の気を引こうと話を振った。

「あぁ、つまんなくて途中で飽きた」

カラッとした笑顔をした燐に志摩の顔はひきつった。

「つまんないって…今女子の間で流行ってるんよ」

「えーあれがか?」

志摩のいう女子の間で流行っている漫画は少女漫画であった。

クールで頭脳明晰な生徒会長とムードメーカーで人望厚いクラスメイト。そんな二人の狭間で揺れ動くヒロインの学園ストーリー。

そんな王道でベタな恋愛漫画は燐にとって不向きであった。

雪男は数日前に燐が恋愛漫画を読んでいたことは知っていた。その根本に志摩が関係していることに苛立ちを覚えた。

「ぜひ読んでほしいんや」

「兄さんには必要ないと思いますが?だいたい漫画読む暇さえありませんから」

燐に変わって雪男が答えるが、もちろん志摩は納得いかない。

「若先生にも関係ある話や。若先生も一度読んでみるとええですよ」






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