「Love Letter」
□「Another」
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■ A n o t h e r
m A d n e s s ■
//Ver.1[William-Genius]
Another.Command.33-34
「渦絡」7-8
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そう。丁度。
興味深いものを見つけたからとダイスから連絡があり、セルと共にその話をしに行ったのだ。そうしたら見事に、ウィリアム・ジーニアス警部と遭遇し、先ほど論争を広げたばかりなのである。嫌味な笑いを浮かべているあの警部を一蹴し、セルとシド、ダイスは気分がよかった。
その後、セルは手洗いへと出かけ、ダイスとシドが話していたのである。どうやらダイスはその興味深い書類を持ってくるのを忘れたということで、次回に持ち越し、となったのだ。
その時、ダイスはウィリアム・ジーニアスを殺したい、などと言うようなことを、言っていた。
---replay---
「それじゃあ、また連絡するからね。」
「は、はい。どうぞよろしくおねがいします、わ。」
あはははは。
そういって2人は手を振り合う。
ダイスの私服上着が白衣のごとくひらりと翻って、彼は仕事へと帰っていった。セルはまだ戻ってこない。迷子にでもなったのだろうか。自分は何処で待っていようか。――そんな事を考えていた。一人、石のベンチに腰掛て。
ダイスは何を言いたかったのだろう。
そんな、事も。
セルが手洗いから帰ってきて、シドはダイスが仕事に戻った事を伝えた。そうしてやることがなくなった昼下がり、男2人は急にやる事がなくなってしまい、これからどうしようかと言うことを話した。
大の大人の男2人、20代半ばと言う仕事も私生活も大変で忙しくて、時間が足りない時期であろうというのに、シドもセルもとりあえず病院近くの人気ファーストフード店で食事をとることにした。そういえば昼食をとっていなかったからというのもある。
---Distortion---
病院の玄関を出て、シドとセルは広い広い綺麗な正面玄関の外エントランスを歩いていた。靴音をならして、二人は軽快に歩みを進める。
「あー、腹減ったー。久しぶりにポテトとかも食うかいね。」
「あはは、いいんじゃないのか? 俺はどうしようかな。この間ケイからもらったクーポン券、まだ残ってたっけ?」
ケイは一度立ち止まる。
立ち止まって、がさがさと鞄をあさり始めた。
それを覗き込むように、シドもまた鞄をみる。
「しっかし、あの警部は俺をどーしたいんだか。ねえ。」
「さあなー。少なくともとりあえずシドを確保して何らかの情報を聞き出そうとしてる確率が高いな。」
「あー、やだやだ。」
シドは首を振る。
あはは、とセルは苦笑した。
「あ。」
そういって鞄からカードが取り出される。どうやらそのカードにクーポン情報が詰まっているらしい。それをび、とシドの前に見せ付けて、セルはにこりと笑った。シドもでかした、といわんばかりに親指を立てる。
「よし、じゃあ――、」
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