Novel

□罪と言う名の狩人Part3
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天音 Part4:


―――深い、闇夜。


そこに、闇に浮かぶ様にして、一人の少女がいた。

彼女の白い肌が闇に映え、そこだけ闇を切り裂いた様にも見える。

天音は今、屋敷の屋根に寝そべっていた。月や星の輝きは勿論、屋敷内には街頭もない。

―――ノイズを倒した後、玄関を開けたらスノーが仁王立ちで待っていた。


「大きな音がするので書斎にいってみれば…壁はボコボコ、扉は廃材と化し、窓硝子は粉砕。揚げ句の果てには気絶した依頼者。これをどう好意的に解釈すればいいのです?」


意を決して窓をブチ破ったが、何度やっても流石にあの緊張は慣れない。何しろスノーは怒ると目茶苦茶怖いのだ。説教で精神をガリガリ削られるし。

とにかくその後、オロオロする日和とリビングに行ったまでは覚えている。後は意図的に忘却した。


「有り得ない感じに終わったね。まあ、とりあえず、1つクリアおめでとう。っていうか硝子割った音、結構響いてたよ?ああいうの困るんだけど」


拍手が聞こえ、天音は身を起こした。

そこには、待ち構えていた男。

芝居がかった動作で、『困った』ジェスチャーをしている。


「…貴方の目的は…」


言葉は途中で、尻すぼみに消えた。ちなみに、男の冒頭以外の言葉と困ったフリは無視する。


「それは、次の鍵達を解いてからのお楽しみ、かな?」


しかし神楽は、無視されてもどこか愉しげだ。


「貴方は、自分で自分の首を絞めてるんですよ?」


天音の非難気味の声にも、それは揺らぐ事がない。


「そうだね。でも…それ以上にメリットがあるんだ」

「そんな、危険なか…」


賭けみたいな事―――

言おうとして、天音は、気付く。

気付いてしまう。

ぐるりと、視界が反転した気がした。


「まさか…貴方は…」

「じゃ、またね」


それに感づいた神楽は、笑って闇夜に身を溶かした。

当然、天音は一人になる。


「…賭けは、『私とじゃなかった』?」


声が知らずに震える。

書斎で少しだけ考えた事。しかし、有り得ないと思っていた事。

彼は…自分自身と、賭けをしていた。

しかし、それが何の賭けなのか。


「…鍵が、必要だ」


天音は、誰もいない闇を睨んだ。




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