Novel
□罪と言う名の狩人Part2
1ページ/12ページ
神楽 Part1:
「こ、ここは…?」
日和と手を繋がれてる天音は、呟いた。
今いるのは、町内にある神社の境内だ。
「ここが、アレの居場所」
日和が答えると、
「いやー、こんにちは。何の用だい?」
唐突に男の声が響いた。
その声に、天音は肩を震わせる。
「アンタの面見に来たのよ。死んでないかね…神楽」
刺を少し持たせ、日和は振り返った。
先程通った鳥居の元には30代ほどの、長めの髪に草履と紺色の仁平という出で立ちの男がいた。
「はは、残念だけど生きてるね」
日和の態度や言葉を大して気にもせず、男は軽く受け流す。
だからこそ、後の言葉と全く繋がらなかった。
「さて、日和君。君は帰れ」
「は?何…」
「帰れ。じゃないと…この土地に入れなくなるよ?」
急に命令され、一度は日和も声をあげたものの、男が言った言葉で押し黙ってしまう。そして天音と男を交互に見やり、足早に去ってしまった。
「…悪いが、人脈は僕の方があるんでね」
日和の姿が完全に見えなくなり、芝居がかった動作で髪をかきあげながら男は天音に近づいた。
「貴方に人脈なんてあるんですか?」
少女が男を見た。その顔には、嘲笑のみが存在していた。
「ま、手駒は多いって事かな」
「随分と過信してますね」
大袈裟に肩をくすめた男に言い放つ。その嘲笑は、どこか危うさを思わせた。
…一見刺があるが、触れると刺ごと溶けてしまいそうな。彼女はそんな雪花の様な儚さを感じさせる。
→