Novel
□罪と言う名の狩人Part1
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プロローグ:
皆が寝静まった真夜中の住宅街、己の足音しか聞こえない中を彼は歩いていた。
彼の金髪を人工光が照らし、その顔は人畜無害な笑みを浮かべている。
彼は時々こんな風に散歩する事があった。沢山の人がいるのに静かなのが、面白い。まるで昼とは別場所の様だった。
「誰?」
不意に、そんな声が響く。彼は声のした、自分の後方をゆっくりと振り返った。
先程まで誰もいなかったはずのそこには、高校生くらいで、明るい色の茶髪をポニーテールにした少女がいた。
「君こそ、誰かなー?人に問う時は自分から名乗らないとー」
語尾を伸ばす独特の口調で、彼は笑みを崩さず問い返す。
すると、目を警戒や恐怖でなく好奇心に染めている茶髪少女は、
「あ、ごめーん。アタシ、日和っていうの。で、君は?」
と、見た目に合った軽い感じで言ってきた。
「僕の名前は、空架」
「クウガ?」
彼の答えに、少女は小首を傾げる。
「そー。空に架けるで、空架ー」
「へぇ、変わった名前。でも、こんな所で何してるの?」
半ば強引に、少女が話題転換した。恐らく最初からそれが聞きたかったのだろう。
「散歩だよー。君こそ、こんな時間に何故うろついてるのかなー?」
彼はやはり笑みを崩さない。
「ふーん、そっか」
しかし少女は、彼の問いには答えず笑う。そして、
「じゃあ君がアタシに見つかった事とあの『屋敷』にいるのがばれた事…運が悪かったって諦めてね!!!」
そんな言葉と共に、彼女の笑みは獰猛なソレへと変わった。
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