Novel
□ゆぅえんちにて
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「…なるほど」
話を察したらしく、少女は呟いた。二人は少女を見る。
「かなちゃんは先輩と遊園地に行きたいのに先輩にはデートがあって、それでモメてるんだね?」
「そういうことだ」
加奈子はいいつつ、癖である人差し指で眼鏡のブリッジを持ち上げる動作をした。
「凄い…どうして分かったの?エスパー?」
香は唖然として聞く。
「まぁ、なんとなく」
少女はなんとなく答えた。
「…あ・海人は?暇そうだし」
修司は困った揚げ句、通りすぎようとした海人を捕まえて言った。
「はぁ?嫌だよ。なんで俺が」
勿論海人は表情と言葉で全面的に嫌がる。
「…じゃあ、天音も一緒ならどうだ?」
そんな彼に、加奈子はぼそりと言った。
ピタリと海人の動きが止まる。
「え?私も行くの?」
「うん、そうだよ。嫌?」
香は尋ねる。
「別にいいけど」
「だとさ。どうだ?行かないのか?」
ニヤリ。
ここぞとばかりに加奈子が煽る。
彼女はこの作戦が勝率100%なのを熟知していた。
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