足の指が敷布を蹴り上げるようにしなった。今日は珍しく抵抗がない。
照れ臭いのか、最初は大抵嫌そうなそぶりを見せるのに、なぜか今夜の猊下は口づける前からオレの手を拒まない。こんな格好を強いてもされるがまま感じてくれるのは嬉しいけれど、でもなんだかちょっと物足りないような。
「んっ…ヨザ…」
甘ったるい声音でオレの名を呼び、とろけたような目で見上げてくる猊下。そんな顔をオレに向けるとどうなるか知ってるくせに。あ、もしかしてワザとなのかな?
「あっ」
髪を撫でてくれていた指が掴むように変化した。ダメぇ、なんてヤラシイ言葉吐いちゃってぇ。
「なにがダメなんスか」
「んくっ」
一瞬反抗的な色を浮かべたけど、どうやら今夜は本気で無抵抗を貫くらしい。それだけじゃなく、積極的な態度までとってきた。
「……猊下」
「…」
「ねえどうし…ッ…」
「キモチイイ?」
オレを咥えたまま微笑む彼は無性に優しい顔をしている。見とれそうなんだけど、つうか見とれたけどちょっと。でもなんか…
「猊下……猊下ってば」
頬に手を添えて目を合わせた。
「なにか怒ってます?」
やっと口を離してくれたので、つめていた息を吐き出す。よかった、あのままじゃ喋れないからな、気持ち良過ぎて。
「……なにに?」
傾けた首は白くて細い。思わず齧りつきたくなるけど、でもそれは後のお楽しみにとっておこう。
「あれ、怒ってないんですか?」
「だからいったい何に?」
じっと見つめるのやめてくんないかなあ。なんか言いにくいじゃないのー。
「やーほら、オレ今日、他の奴に告白されたりなんかしちゃったじゃないっスか」
短い…でも元から短いからなあこの話は。しかも裏だからどこまで載せたものか…(汗)
とにかくこんな感じの話です。