十二国記小説
□告白 05.12.15
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「好きです!私とお付き合いしていただけませんか!?」
突然の大声に、近くにいた者はそれを発した人物に注目した。声だけでなくその内容も人を惹き付けるものがあったからだ。
その少女は顔を真っ赤に染めて目の前の人物を上目遣いで見つめる。耳までもが赤くなっていた。
見つめられた方はというと、大きく瞳を見開いて暫し唖然としていたが、すぐにその中の一人が横にいた灰茶色の髪をした青年を肘で楽しそうに突付いた。
「へえ〜、知らなかったな、楽俊って意外にもてるんだ?」
「えっ!?」
楽俊と呼ばれた青年がオタオタと目に見えて動揺したのを見た少女が慌てて口を挟む。
「いえ、その方ではなく…」
「じゃあ鳴賢か。良かったな、ずっと彼女欲しいって言ってたもんね。こーんな可愛い子なんて羨ましいぞ〜」
今度は反対側に居る茶髪の青年の背中を叩くと、鳴賢と呼ばれた男は途端ににやけた顔になり、いや〜、まいったな〜、と頭を掻き始める。
だがそれにも少女はいいえと声を上げた。
「いいえ、その方でもありません!私が言っているのは貴方です、緋色の髪の…」
そこまで言うと目が本人と合った為に、彼女は恥かしそうに俯いた。
「へっ!?わ、私ぃ!?」
言われた方は目を瞬かせて素っ頓狂な声を出している。驚いた顔で人差し指で自分を指した赤い髪の少年に、少女はこっくりと力強く頷いた。
「はいっ、貴方です!…あの、貴方のお名前を窺っても宜しいですか?」
「……陽子…だけど…」
「陽子さんと仰るのですね?あっ…私は春芳(しゅんほう)と申します」
挟釈する少女に陽子は呆然とした顔で、それでもなんとか返事を返す。
「…あ、ああ、よろしく」
それに春芳と名乗った少女は嬉しそうに微笑んだ。
「突然こんな事を言ってごめんなさい。だけど、あの、陽子さん、私本気です!」
春芳は必死で説明を始めた。
「前に街でお見かけした時に、一目で好きになってしまったんです。それからずっと貴方を探していました。逢えてとても嬉しいです」