僕が僕であるかぎり
□僕であるかぎり
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「さようなら」
僕が僕であるかぎり
ありふれた朝
ありふれた時間
ありふれた人
ありふれた感情
ありふれた日常。
まだ少し寒さが残るいつもの昼過ぎ。時々感覚が鈍るような足取りで僕は歩いていた。
限りない人の山をかき分け歩く。僕も誰とも変わらない。
そんな小さな疲れに気付いていないフリをしてる自分が鼻につく今日この頃。
今すれ違った人達はどこへ行くのだろう。
僕に目的はない。
ただなんとなく歩いて、なんとなく気になった店に入って、見てるだけ。買えないわけではない。そこに手を伸ばそうという気持ちがないだけ。
いつもそう。何か欠けてるのかな、と鼻で笑いまた歩きだす。
どこかつまらない、不思議な気持ち。
世の中に特別な誰かなんていない、そう感じた時から自分自身への皮肉が増した。
気が付けば空腹が時間を教えてくれた。
夕飯は適当にコンビニ弁当で済ますか。
心の中で僕が呟いた。
そういえば今日、僕は何か喋っただろうか…否。
こんなんじゃダメだろ。かといって考えても仕方ない、とりあえず帰ろう。
再び人が詰め込まれた電車を見て溜め息を付きながら僕も一部になりにいく。
結局、僕はなにしに街に行ったのだろう。
一部から解放されて少し重い足取りで歩く。
家が近いようで遠い。嫌だなぁ。
"あれ?なにが嫌なんだ?"
何に対して嫌と感じたのか。
また鼻で笑う。
病んでんのかな…なんて。
いつからこんなに何かが薄れたのだろう。
これを数年ごしに描いてる今
足りなくなった言葉に言葉をなくしてる。