捧げ物

□繋いだ手と手
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先程まで賑わっていたスーパーが静かになる頃


新八は両手に大量の荷物を抱え、万事屋までの道のりを歩いていた。



『うぅ…重いっ!!』


一人、重い荷物と格闘しながら歩く新八の目に入ったのは



大好きな恋人の後ろ姿



(後ろ姿だけでわかるなんて…重症だなぁ)



一瞬、声を掛けたい衝動に駆られたが


手に持っている荷物の事を考え、思い止どまった。




(早く万事屋に帰ろう)


そう思い再び万事屋へと足を進めた



その時、新八の左手から荷物がひょいと奪われた



『ちょっ…って、沖田さん!?』

「おう。新八ィ、重そうなんで万事屋まで持ちまさァ」



そう言って歩き出した沖田は自分の右手を新八の左手と繋いだ



『あっ…』

「ん?どうかしやした?」

『…恥ずかしいですよ!!』



その言葉を聞き流し、沖田は繋いだ手にギュッと力を込める



「恋人なんだからいいじゃありやせんか」

『そうですけど…』

「新八は俺と手ェ繋ぐの嫌なんですかィ?」

『そういう訳じゃ…』





その言葉に沖田はふわりと笑う



「じゃあ我慢しなせェ」

『うぅっ…わかりましたよ』



赤くなった顔を隠すように俯いて、ゆっくりと歩く新八




どれくらい経っただろう


前を歩く沖田の背中にぶつかって新八は立ち止まった






『ちょっと、急に止まらないで下さいよ!』

「新八ィ、万事屋につきやしたぜ」

『あ…本当ですね。…ありがとうございました』

「おう」



新八が繋がれた手を名残惜しそうに離そうとすると


その手を更にギュッと握られた



『沖田さん?』

「すいやせん。新八と離れたくなくなりやした」

『っ!?』



一瞬にして真っ赤になった新八は何を思ったのか、沖田が持っていた荷物を奪った



「新八ィ!?」

『そこで待ってて下さい!』



訳が分からず立ち尽くす沖田を置いて、新八は小走りで万事屋へ入っていった



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