宝物

□初恋カウントダウン
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初恋カウントダウン



一か月前、夕方のタイムセールに行った時に、真選組の2人が見廻りをしているのに出会った。
いつもなら、サボっているイメージが有った沖田さんが、真面目に見廻りをしているのにビックリして、意外と真面目なのかなぁ…?とか思った。


2週間前、神楽ちゃんを公園に迎えに行ったら、いつものように沖田さんと喧嘩をしていた。
ムキになってうがぁーっ!と絡んでいく神楽ちゃんを、何だか余裕で抑えていた。
神楽ちゃんが怪我しないように、気を使って攻撃してるように見えるなぁ…仲悪いように見えるけど、案外沖田さん、神楽ちゃんの事好きなのかもしれない…

…あれ…?なんだろ。
なんか胸がチクチクする…

まぁ、そんな事は置いといて。これ以上迷惑かけらんないと僕が神楽ちゃんを止めに入ったら、とばっちりで神楽ちゃんに殴られた。
慌てた沖田さんが、ビックリして動かなくなった神楽ちゃんと僕をベンチに座らせて、ハンカチを濡らしてきて僕のおでこに当ててくれた。

「痛ェかい?」

と、心配そうに僕を覗き込む顔は優しげで、この人がドS王子だって言われてるのが不思議になった。
なんだろ、心臓がドキドキする…

1週間前、買い物の帰り、バッタリ沖田さんに逢った。
その日は特売日で安くって、買い過ぎて両手に3個ずつ袋を提げて、ふぅふぅ言いながら歩いてる僕を見て、ふわりと笑った。

心臓が、ばくん、って動いた。
なんだろ…この間から、心臓が変だ。

笑ったままの沖田さんが近付いてきて、沖田さんが舐めていた棒付きの飴を僕の口に突っ込んだ。
僕が文句を言うと、まだそんなに舐めてねェよ、と言った。そう言う事じゃなくって!…まぁ良いや…
そして片方の荷物を全部持ってくれて、万事屋まで送ってくれた。


5日前、夢に沖田さんが出てきた。
夢の中の沖田さんは何故か僕にべったりで、ぎゅう、って抱きしめられてしまった。
僕は…それが嫌じゃなくって…
起きてから、沖田さんが居ないのがなんだか寂しかった。


3日前、夕方のタイムセールの時間に沖田さんは見回りに居なかった。ちょっと立て込んでいて、僕が30分くらい、時間に遅れてしまったからかもしれない。
なんでだろう…逢えないと、凄く寂しい…
心臓がぎゅうってなって、悲しくって寂しくって…

2日前、ちゃんと夕方のタイムセールの時間に間に合わせて買い物に行った。
土方さんと一緒に見廻りをしている沖田さんを見かけた。
御苦労さまです、って挨拶をしようと思ったのに…心臓がバクバクして動けなかった。
もしかしたら僕は…沖田さんの事…


昨日、万事屋で神楽ちゃんとお話をした。
神楽ちゃんはこの間沖田さんと闘った時の武勇伝を、楽しげに話してくれた。
…僕はなんでか胸がムカムカした。

………なんでかじゃないよね。
もう流石に僕だって自覚してる。
僕は沖田さんが好きなんだ。恋愛的な意味で。
僕は男で沖田さんも男の人で…だけど、いつの間にか好きになってた。
見かけるだけでも幸せになれるぐらい、あの人が好きだ。


だから今日も、夕方のタイムセールの時間を狙って買い物に行く。
少しでも…沖田さんに逢えるように。
今日は…勇気を出して、お疲れ様ですって言うんだ!
微笑みかけてくれたりしたら、きっと1週間は幸せだから…

さて、掃除も洗濯も終わったし、買い物に…

「新八〜、俺のいちご牛乳知らねぇ〜?」

「は?そんなの冷蔵庫に…」

「いや、それがね〜んだわ。おめ〜飲んだんじゃねぇの?怒らないから正直に…」

「飲んでませんよっ!そんなモンっ!!」

あぁもうっ!時間無くなっちゃうよっ…そろそろ出なきゃ間に合わないのにっ…

「おめ〜、いちご牛乳馬鹿にすんな?いちご牛乳ってのはな…」

それから1時間、銀さんのいちご牛乳談義が続いた。
しつこいんだよっ!本当に…

「そんなに言うんなら僕買い物行きますんで、ついでに買ってきますよ…」

どうせもう沖田さんには逢えないけど…でももしかしたら…

「あ〜?買って返せば良いってもんじゃね〜だろが…」

「だからっ!僕飲んでませんって!!」

「やだね〜、最近の若者はすぐキレて。まぁ、銀さんだってまだぜんぜん若いけど?でもさぁ〜、そう言うんじゃね〜だろ?」

そこから銀さんの説教が1時間続いた。

あー…もうダメだ…完璧に沖田さん帰っちゃったよ。
それでもとぼとぼと歩いて買い物に行く。
あーあ…逢いたかったなぁ…
買物のついでに神楽ちゃんを迎えに公園に寄ったけど、ソコにピンクの頭は無かった。
入れ違いになっちゃったのかな…?







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