俺が恋したのは好きと言えない人

□不安
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ハッと目が覚める                俺は自室の机の椅子に座って寝ていた                   「あれ…眠っちゃったのか?」
瞼をこすり欠伸をした。
机の上には乱雑に教科書とノートがある                  なんか長い夢を見ていた気がする                     トントン
ノックをして
「直、入るわよ?」
ガチャ
するとパジャマを着た加奈がアイスを持ってきた              「勉強はかどってる?アイス作ったからから食べてね」
机にある教科書を片付けて上に置いた       
「直、お父さんに高校に行かないって言ったんだって?」
加奈が不安顔で俺のベッドの上に座り言った
俺は冷たいアイスを口に含みながら
「んン?そんな事言ったかな…」

「もぅ…直ったら無関心なんだから」少しむくれた顔で言った
            「!うっゴホッ」

俺はその顔を見て、なんか加奈が子犬みたいでむせてしまった

「あら、大丈夫?」
俺の後ろに立ち背中をさする
                        その手は                    か弱く                     はかない                                            細い腕だった                  (温かい……)
            俺は加奈の手にそっと触れる                       「母さん、もう大丈夫」
そういって見つめた
            加奈は微笑み
「ちゃんと今度、彼女さんのこと、お母さんに紹介してね」
そんな事を言って無邪気に笑った
            「…………あっ…」
するりと俺の手をすりぬけ部屋を出ていった                                        彼女か……

…                                   はぁ                                  溜息をそっとついた
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