月夜に乾杯シリーズ
□月杯はじめて物語
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プロローグ
1999―成田
飛行機が滑らかに滑走路へ着陸した。タラップが地上へと降りて行き、長旅で疲れた旅人を吐き出した。
私は、狭い機内で窮屈に押し込めていた手足をゆっくり解放する……
既に、日はとっぷりと沈み空には星がまたたいていた。
遂に来た……日本へと。私は、古い馴染みに会いにやって来たのだった。
空を飛んで来ても良かったのだが、日の昇るまでの間しか飛べない…ので何日かかるか……
今この時代、飛行機と云う便利な乗り物が有るのだから、利用しない手は無い。日も暮れた今、後はこの広い夜空を漂いながら、羽ばたくとしよう……