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□9月22日のログ
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「じゃあ、また明日」
おやすみなさいを告げようとしたら、銀さんが苦い顔をした。
いつも欠伸をしながら見送るのに、何かあったんだろうか。
今日一日一緒にいたけど、何も気付かなかった。
「夜なんて来なければいいのに」
ぼそりと呟かれた言葉にきょとんとしてしまう。
何を言うのかと思えば。
その言葉の続きを考えて、嬉しいやら恥ずかしいやら。
銀さんの手が伸びてきて、そっと僕の頬に触れる。
台風が過ぎたせいか一気に涼しくなってしまって、風呂上りの銀さんの手も冷たくなってしまった。
それなのに熱を感じるのは、触れられているという事実に僕の心が反応しているからだろう。
「夜があるから朝の出会いもあるんですよ」
そばにいないけど、同じ布団で眠りはしないけど。
眠る間際に思うことは、きっと同じ。
相手を思って思って、目を閉じる。
「銀さんの目に一番に飛び込むのが僕なんですよ。それがすごく好きで幸せで。一番好きな時間かもしれません」
「…お前の声も視線も、朝一番は神楽だもんな」
「定春の時もありますけど」
頬に触れていた手がするりと首に回る。
そのまま力を込められれば、僕の体なんて容易く銀さんの胸に誘われる。
風呂上りのいい匂い。
すんっと鼻を鳴らせば、髪に降る銀さんからの口付け。
「…泊まってけば」
「帰りますよ」
「やっぱ夜は嫌いだ」
「あはは。じゃあ好きになってもらえるように」
胸元に手を当ててバランスとって。
音を立てて啄ばむ口付けを。
「明日の朝は銀さんに一番に声も視線も届けます」
普段言わない我儘と本音が聞けたんだ。
それくらいなら甘やかしてもいいよね。
「約束、な」
「はい」
小指を絡めるなんてしない。
見つめ合って微笑んで。
唇に印を。
「おやすみなさい」
「おう。おやすみ」
また明日。
貴方で始まり貴方で終わる一日に思いを馳せて。
これからもずっと、その一日一日が積み重なりますように。
光る月に願いをかけた。
END
支離滅裂ぅ^^