書架

□予兆
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カーテンの隙間より差し込む陽射しと、小鳥の囀る声に意識を浮上させられる。

ゆらゆらと水底から浮き上がるような感覚に、心地良く浸りながらも、青年は重い瞼を押し上げる。

本当に気持ちの良い目覚めであった。

ぼんやりと寝台の天蓋を見つめながら今日の予定を頭の中で組み立て、青年は視線を横へ流して光の差し込む窓を見た。


穏やかに一日が始まる。










…というか、始まりだけは穏やかな朝だった。



城に程近い屋敷の一室、そこで身体を起こした青年は、いつもの通り部屋にて朝食を取り、身支度を整えて宮に出仕する。

朝早いせいか、人影は少ない。

陽光に柔らかく亜麻色の髪を輝かせ、青年は長靴の音を回廊に響かせながら目的地へ向かった。

向かった先は執務室で、軋む音の少ない扉を押し開けると既に奥の机に着き、仕事を始めている青年が二人いた。

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