書架

□招待状
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宿のおかみさんを宥め、集まった人達を解散させ、三人は部屋の中で押し黙っていた。

因みに、部屋の中に転がされていた男達には既にお引取いただいている。

今頃は館の惨状に立ち尽くしている頃だろう。

「…、タイミングがいい、いや、悪いな」

「そうだな。あの“招待状”を貼っ付けた奴捕まえられりゃ解決したかもしれないし」

「…一つだけ解ったぞ」

顎元に手をやり、宙を睨む様にして考え込んでいたリゼが口を開く。

到着して早々、湯を借りて体を清めた青年は軽装に着替えており、鬘も眼帯も外してある。

無造作に撫で付けられた髪のお陰で、その左右異彩の瞳が晒されていた。

レインは口元を押さえて横を向いた。
僅かに頬や耳朶が朱を帯びている。

ライルは羨むような複雑そうな顔を見せる。
青年の胸元を指先でトントンと示してみせた。

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