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□呼び声〜プロローグ〜
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〜プロローグ〜



深く闇の濁った地の底。

光が欠片も入り込まぬ場所で、蠢くモノがあった。

闇よりなお暗いその影は、徐々に一つの形を模り、やがてはっきりと出来上がった顔の中、閉ざされた瞼を薄っすらと開いた。

混沌とした黒の中で唯一、その瞳だけが焔のような朱金の輝きを持っていた。

「────……、 」

それは音とならぬ叫びを上げ、天を仰いだ。


まるで何かに焦がれるように手を差し延べながら……
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