短編
□++戸惑い恋心++
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アンタには、いつになったら勝てんのかな…。
きっと、あの人は分かってない。
いつになったら、俺の気持ちに気づくんだよ…!!
++戸惑い恋心++
「越前、話があるんだけど‥今、大丈夫かい?」
ドクン
ただそう言われただけで、心臓が大きく跳ねた。高鳴る心臓の音が煩い。自分の胸ぐら辺りを思わずグッと握り締める。
「…なんスか」
敢えて素っ気なく返す----と言うよりも、いつもこんな感じなのでなんとも言えない。
その答え方に不二先輩は「相変わらずだね」とでも言うかのように、表情を少しだけ曇らせた。
けれど、直ぐにいつもの笑顔に戻る。俺はこの笑顔が大好きだけど、大嫌いでもあった。自分だけに向けてくれればと、何度思ったか分からない。
「今度、英二の誕生日なんだ。だから、日曜日に一緒にプレゼント選びをしてくれないかな?」
期待して損した。大損だ。
「面倒…。何で俺なんスか」
「ボクの次に、英二と仲が良さそうだったからね」
「…へぇー?ま、何か奢ってくれるんなら行ってもいいっスよ」
ここで引くのも悔しかったから、またいつもの癖で生意気に言い切ってしまった。少し後悔して不二先輩の表情を恐る恐る見る。