Short

□さよなら、貴方を愛していました。
1ページ/2ページ

なぁ、お前はもう俺の事、嫌いになったのか?
だから、他の奴と一緒にいるのか?
止めてくれと言っても、何度も浮気をするのか?

……なんて、聞けない。
嫌いだと、お前は必要ないと言われるのが怖くて。

俺がこんな性格だから、お前は転校生に惹かれたんだろうな。

だから、俺から別れを告げようと思う。
お前の事好きだけど、愛してるけど、もう無理だ。限界なんだよ。

最近、転校生達と昼食をとっているお前に会うため食堂へ来た。
そこには、転校生に構って笑顔を浮かべているお前の姿……
見てるのが辛いよ。

「大翔、少し話がしたい。今、いいか?」
「え〜、智、俺に何か用なの〜?拓海と話てるのにぃ」

面倒くさいなぁ、と俺に冷たい視線を向けるお前。
やっぱり、お前はもう俺を想ってはいないんだな。

「ここでは…「なぁ!お前誰だ?オレは宮野拓海っていうんだ!」…場所、移動しないか?」
「拓海〜、コイツに構わなくてい〜よ。智、ここでいいじゃん。移動すんの面倒くさいしさぁ」
「お前、智っていうのか!よろしくな!」
「わかった。転校生は少し静かにしてくれ。君と話がしたい訳じゃないから」

空気の読めていない転校生にそう言うと、彼と、取り巻きと化した生徒会が騒ぎ出した。
だけど、関係ない。話があるのは大翔だけだから。

「なぁ、大翔……別れよう」
「はぁ?な、なに言ってんの?冗談言わないでくんないかなぁ?」
「冗談じゃない。限界なんだ。お前が誰かと一緒にいるのを見てるのが辛い。だから……」

別れてくれ。

ようやく言う事ができた。
これでもう、お前とは他人になれる。
泣きそうだけど、辛いけど、これでいい。
お前も、俺みたいな奴に大切な時間を割かなくていいんだから。

「さよなら、大翔。転校生と幸せにな」
「ちょっ、待って!待てよ、智!」

呼び止められるけれど、聞こえないふりをして食堂を出る。
廊下を走って、寮の自室へ戻ると、涙が出てきた。
別れの理由は話さなかったし、アイツの話も聞いていない。
泣いたって意味はない。
もう終わったんだ。俺が終わらせた。
これでいいよね?
こんなの、自己満足でしかないんだろうけど。


さようなら、愛しい人。
……俺はお前に愛してほしかったよ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ