short

□肝試し
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吹雪

「ばーぁっ」
「……」
「なぁにーつまんなーい」
「……吹雪君」
「何?」

「私はいつから君の彼氏になったの」


先程から吹雪君が私の腕をがっちりホールドしていて離さない。
意外と力が強いことに気付いていないのか力を緩めることはなく、着く頃には痣が出来ているだろう。
吹雪君はしばらく歩いて何処から出したのか白いシーツを出してきてお化けの真似をした。
あーはいはい可愛い可愛い。
え、驚けって?無理。
そういうと吹雪君は頬を膨らまして私の腕を更に抱きしめた。

こいつと組むんじゃなかった。豪炎寺君とかと組んどけばよかった。

5分前の私の馬鹿。

「はーなーしーて」
「やーだー」
「……いつになったら離してくれるの」
「一生離さない」
「幽霊より今のお前の方が怖いわ」

吹雪君の目が本気だ。やだ怖い。
やめてこの安定のヤンデレ。

私が思わず吹雪君の手を振り払うと意図も簡単に吹雪君と距離が出来た。
吹雪君は一瞬悲しそうに顔を歪めたが、

「……あはっ」

やだやだちょっ待てお前ぇぇぇっ。
何その笑い、やだこの子目がイってる。
うわわっスイッチ入った絶対入った。

「わ、私先行くね」
「いーち」
「!」

何?隠れんぼ?鬼ごっこ?え、やだ怖い。
この真っ暗な森で二人きりでやるとか怖い!

「にー」
「えっえっ」
「僕が鬼ね」
「うん逃げるすぐ逃げる」
「捕まえたら……どうしようかな」
「どうもしないでねじゃあばいばい!」

疾風ダッシュ並の速さでゴールへと向かう。
もう肝試しどころじゃなくなった。
幽霊より断然ヤンデレモードの吹雪君の方が怖い。
日本が「結局は人間が一番怖いんだよ」という映画作るのよくわかる。

がらっ

「!!」


やばい。道が狭かったせいか踏み外してしまった。
え、やだ、落ちる。
あ、結構下深い。暗くてよく見えないけど落ちたらまず助からないだろう。
私は覚悟して目をつぶった。
が、いつまでたっても痛みは襲ってこない。
恐る恐る目を開ける。

視界一面が真っ白になった。





「捕まえた」



(怪我するのと)
(ヤンデレ吹雪君に捕まるの)
(どっちがいいんだろう)
(……え、どっちも嫌)









ヤンデレもっと上手く書きたい。小説書いてなかった期間が長かったせいかいつもの倍くそ。
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