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□わがまま
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「やだ」
「そんなこと言わずに」
「やーだ」
「大人げないぞ雪村」
「だって俺大人じゃねぇもん」
「雪村」
「やだやだやだ」

「……どうしたの」

「名無しが革命選抜チームのマネージャーなんて絶対嫌だ!!」

雪村に嫌われたようです。




話を遡ること数日前、全国大会で雷門中と戦った三校の連合チームとして革命選抜チームというものができた。
何故か白恋のマネージャーである私がその選抜チームのマネージャーにならなければならないのだ。
まぁ知り合いも何人かいるようなので私は二つ返事で承諾したのだが、

雪村はそれを許さないらしい。

「木瀧どうしたの?」
「あ、名無しさん!雪村さんが……」
「俺はあいつが入るのが気に食わない!」
「そんなに私が嫌いか」

白咲が止めてるからいいもの、雪村は今でも私に飛びかかりそうだ。
そもそも私は雪村に嫌われる覚えがない。今まで練習に散々付き合ってやったのに何たる無礼。
むかついたので押さえつけられている雪村の頭を叩いてみる。
すると雪村はどこからその力を出してきたのか、白咲を私に向かって投げてきた。
末恐ろしい奴だ。
白咲は涙目になりながら私に覆いかぶさった。
さり気に床に叩きつけられた時下敷きになってくれるところはさすが紳士だと思う。……紳士か?

「雪村嫌い白咲ありがとう」
「名無しさん冷静すぎて惚れそう」
「ありがとう木瀧」

雪村はまだ何か気に食わないのかベンチに物凄い音をたてながら自分の手を叩きつけた。
何こいつ面倒くせぇ。

「何雪村」
「……俺はっ……」

雪村は何か言いたそうだったが言いにくそうにしては下を向き、白咲を見てからまた同じ行動を繰り返す。
木瀧の方を見ると真狩と一緒に苦笑して何かアイコンタクトを送られた。
私にどうしろって言うの。

「名無し聞いてやってくれ」
「聞いてやんよ」
「何故上からなんだ」

「俺は……っ」
「うん?」


雪村は今にも泣きそうだ。
握っている拳は小刻みに震えている。
さっさと終わらしてほしい。私の頭はそのことでいっぱいになった。
するといつもの雪村の急に始まるマシンガントーク炸裂した。

「俺はお前が他の学校のマネージャーになるのは嫌だ。
今だって俺専属じゃないのを我慢してるし今現在進行形で白咲殴り飛ばしたいし。
木瀧の発言抹消したくて仕方ねぇし。
それが今度は見知らぬ奴とのチームのマネージャー?いくら俺がサッカーが好きだからってそれは少し無理な話だ。
月山にもお前に手ぇ出しそうな奴いるし木戸川はイケメン多いし、お前面食いだろ。
心配で心配で仕方ねぇよ。というか俺の傍にずっといろよ。
だから気に食わないんだよ。だから嫌いだなんて言うな」

「雪村面倒くさい」

「名無しさん一蹴!」
「凄まじいな」


その後吹雪先輩が来て雪村を止めてくれるまで私は雪村に罵られ、告白され、最終的には背負い投げまでされた。
巻き添えを木瀧や白咲も食らっていた。




「……で、どうすればいい兵頭」
「致し方がないな」


チームのマネージャーになってから雪村が更にわがままになりました。
因みに言うが、私は面食いではない。






(どうしようこの子)
(名無し、寝る前俺の部屋来いよ)
(不純異性恋愛禁止)
(別にそんなんじゃねぇよ)













なぁにこれぇ。なんだか大暴走。シリーズ化したいけど勇気がない。

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