白竜と

□試合
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「……あれ?」
「……」

お昼休み、いつものように屋上で一年ズと食べようとして扉を開くと目の前に白竜がいた。
どうしたの。そんな真剣な顔して。
今日の晩御飯?ごめんカレーだよ。
え、そんなことを聞いてるんじゃない?じゃあ何。

「あ、えっとだな」
「……」
「な」
「な?」
「なやっ」
「納屋?」

納屋がどうしたの。というかどうしたの白竜。
そんな一世一代の告白するみたいに真剣な顔を真っ赤にさせて。
ひょっこりと開けた口から少し八重歯が見えてかわいい。

……はいはい。白竜煩悩ね。



私も言いたいことがあったので丁度いい。

「なやみっ」
「白竜」
「…な、なんだ」
「実は」
「……」

しんっ……と周りが静かになった。
え、何この空気。やだ。そんな重要なことでもないのに。
というかシュウにやにやしないで。

「その……」

な ん だ か お か し い こ と に な っ た 。

まるで私が白竜に告白するみたいだ。
あれ?どうやって付き合い始めたんだっけ?
…………どっちから告白したんだっけな。

……してない、気もする。

あ、そうそう要件済まさないと昼休み終わってしまう。

「あのさ」
「……あぁ」
「必殺技」
「…………は?」
「必殺技、作りたいと思って」

い、言えた。
中二にもなって必殺技を作りたいというのは何とも恥ずかしい。
ずっと言おうかどうか迷ってやっと言えたというのに周りは大きく口を広げて呆然としている。
何、どうしたの。何があったの。

「……はは」
「?」
「何だ……そういうことだったのか」

急に白竜が大笑いし始めた。
すると周りにどんどん感染していって狩屋君なんかに至ってはお腹を抱えて笑いこけて「だっせー」と白竜を指差してる。
状況が理解出来ない私にとっては乾いた笑いしか出なかった。
ほんとに一年の教室で何があったの。

「名無し」
「何」
「どんな必殺技なんだ?」
「えーっと…」

何と言えばいいのだろう。女なので天城先輩のようなアトランティスウォールみたいなのは遠慮したい。

「こう空から…ずばばばーと」
「よくわからん」
「私もわからない」

この間顔を顰めたのは実験しようと思っていたからだ。思ったよりすぐ出ないものだ。
いつもイナズマジャパンの技ばかりで対応していたからたまには自分のオリジナルの技が欲しい。
雷門サッカー部に入って思うようになったことだ。
神童君のオリンポスハーモニーとか剣城君のデビルバーストとかかっこいいとちょっと思っていたり。
本人には口が裂けても言わないけど。

「今度は風属性のを作れ!」
「えー名無しの属性じゃないじゃん」

何だか二人が揉め始めたぞ。
やだ面倒くさい。

何だかはらはらした一日だった。




……必殺技、本当にどうしようかな。





(先輩ー練習付き合いますよー)
(ありがとう松風君)
(剣城も一緒です!)
(え)
(俺達化身出して突っ込んで行くんで頑張ってください!)
(何これいじめ?)








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一つの仕草ではらはらしちゃう白竜が書きたかった。展開が早いのはご愛嬌。←
次からちょっと長いの入ります。

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