白竜と

□シュウ
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朝起きるとなんだか違和感を感じた。

ゴッドエデンでもこんなことあった気がする。
その時決まって傍にいるのが……


「名無しに取り憑いちゃった☆」

「シュウぅうぅぅっ!!!」


シュウだった。



消えたはずのシュウが私の体の上に座りながら笑顔でお出迎えをしてくれる。
いくら仲が良いとはいえ、親しき仲にも礼儀あるというものだ。
可愛らしいシュウが再び現れてくれて嬉しいのだが白竜が見たらなんていうのだろう。

私は朝一番の溜息をつく。


がたっ



何かが落ちる音がした。
音が発している方向を見ると

「…………」

白竜がいた。

朝の乙女の部屋に入るなんて失礼じゃないのかお前。
という反論をすることも許されず、私は呆然とするしかなかったのだ。

そして、馬鹿竜は更に混乱していた。


「ホワイトブレスっ!!!」
「クッション投げてるだけじゃん」
「き貴様っシュウ!名無しの上から降りろ!」
「やーだ!だって僕と名無しは親友だもん」


だもんってかわいいな。

シュウは私のパジャマをがっちりと掴み、離そうとしない。
白竜はそれに腹が立ったのか意地でもシュウを離そうと躍起になってシュウを掴む。


あ、シュウ実体化してるんだ。


「やめなよ二人共」
「僕は二人じゃないよ!」
「……やめて白竜シュウ」
「何で僕が後なの?五十音順にしたら僕が先じゃん」
「ふっ信頼の差だな」


なにこいつらめんどくせぇ。

なんだが彼女に「私と仕事どっちが大事なの?」と言われている彼氏の気持ちがよくわかる。
こっちだっていろいろあんだよと返してあげたい。
ほらシュウって女の子っぽいしこいつ私の彼女立ち位置を保ちたいんじゃ……。

「名無しは僕の!」
「貴様ぁっ!!抱きつくな!!」
「あ、こんな時間だ」

用意しなきゃ。シュウ重い。
シュウがいつまでたっても離さないので仕方なくシュウごと引っ張ることにした。
白竜は相変わらず悔しそうに奥歯をかみしめている。
八重歯絶対歯茎に刺さってるよね。大丈夫だろうか。

「ねぇねぇ名無し」
「何ー?」
「今日は何曜日?」
「日曜日」
「じゃあ学校は休み?」
「一応ね」

今日は日曜日。
私立である雷門中は土曜まであるためかなり貴重な休みだ。
冷蔵庫から適当に3個卵を取る。
あ、シュウご飯食べるのかな。

「食べるよ」
「考えていることは筒抜けか」
「名無しの考えることならなんだってね」
「さいですか」

フライパンに油をひく。しゅわーと音をたてて熱気を保つ。
あーベーコンまだ残ってたかな。
シュウはというと私の腰にしっかり腕を固定していて私は背中にシュウの全体重がかかっているのを感じた。

「サッカしよー」
「いいよー」
「ふん人数が足りんだろ」
「じゃあ天馬呼んでよ」
「呼べる人呼ぼうか」

確かにFW2人にDF1人はただのいじめだ。
私が二人にいじめられる。
今良く考えたらゴッドエデンでの練習で特訓というよりあれはディフェンダーいじめだった。
二人共いい笑顔してたな……あ、所詮二人はSですか。

携帯をフライパン片手に操作して一斉送信すると真っ先に剣城君が「いく」と返信してくる。
さすが剣城君。私この子に慕われて幸せ。
狩屋君からも真っ先に「いく」と返信が。
「ついでにデートしましょ先輩」という文は見なかったことにする。
次に松風君、西園君、影山君、浜野君倉間君速水君、更には神童君霧野君まで。
一乃君と青山君はメルアド知らないんだよな…今度聞こう。
三年の先輩方は模試が近いのでお預けだそうです。


…はいということでご飯食べたらすぐ集合、みんな宿題は?と思ったけどよくよく考えたらもうお昼だったね。
お昼まで寝てたのか私は。

「俺は一応起こしたぞ」
「……白竜」
「なんだ」
「携帯」

白竜のズボンのポケットから覗いていた白い携帯が目に入った。
まさかこいつ何か携帯でやらかしてないだろうなと思ってたら案の定なんかしてた。

「何したの」
「それは言えんな」
「名無しの寝顔撮ってたよ!」
「シュウ貴様っ」
「消しなさい」
「……はい」

シュウ本当にこの子何しに来たの。





やはり中学生男子という育ち盛りがいてどんどん作ったご飯がなくなっていくので何だか嬉しい。
そういえば白竜は朝ご飯どうしたのだろうか。
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