白竜と

□授業
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※白竜が少々気持ち悪い。



名無しは気付いてくれているだろうか。

「……」
「……おい何してるんだ」
「名無しの体操着を拝んでいるんだ」
「……精神科行った方がいいぞ」

剣城は、あろうことか俺に病院へ行けと言った。
行くなら心臓科だろう。だって俺の胸は

「こんなにもドキドキしているんだからな!」
「やっぱ精神科行った方がいいぞ」

剣城に蔑んだ目を向けられた。
何故そのような目をするのだ。お前も同類ではないのか。
お前は名無しのことを慕っているようだな。
まぁ俺の敵ではないが!

「……授業中だ」



そう、授業中でも俺の名無しへの愛は続く




「剣城俺の話を聞いてくれるか」
「聞きたくない」
「お前が知らない時の名無しのことなんだが」
「……聞いてやろう」

やはりな。剣城は一体ゴッドエデンで何があったのかは知らないがかなり名無しのことを慕っている。
だが剣城は敵には入らない。何故なら奴は名無しのことを1人の女というより姉という視線で見ているからだ。
逆に危ないのはあの狩屋とかいう奴と神童キャプテンだろう。
あの二人は何処かあいつを特別視している……。
シュウがいたら真っ先に半殺しにされていることだろう。

「話さないのか?」
「話してほしいのか?」
「……」

剣城は俺を見つめて盛大な溜息を吐く。何故ここで溜息なのだ。
仕方ないな、そこまで言うなら話してやらんこともない。
剣城がそろそろギスギスとした禍々しいオーラを出してきたので俺は昔話に浸ることにした。

「お前が来る前のことだ」




あの時俺は名無しと敵対してた以外の何物でもなかった。
熱しやすい俺と決して熱くならない名無し。FWとDFだったせいか剣城ほどではなかったが周りの奴等は自ら「白竜派」と「名無し派」に分かれて対立していたものだ。
そのせいか俺もあいつを敵視していた。
そしてある時あいつがキャプテンを務めるチームと対戦することになった。
もちろん俺はあいつに大して最初から嫌味なオーラ放出でいったのは剣城も経験したことがあるのでわかるだろう。だがあいつはどうしたかわかるか。
答えはこうだ。

「お前がななし名無しか。噂には聞いているがそんな細い体でゴールを守れるのか」

なんて俺が嘲笑うと彼女はこう返したのだ。

「まぁ守れるか守れないかは自分の目で確かめて、自分じゃよくわかんないし」

その瞬間俺は



「あいつに惚れたんだ……」
「何処に惚れる要素があったんだ」

今でもその言葉を思い出すと動悸を起こすのにどうやら剣城はそのことをわかってくれないらしい。

「で、どうだったんだよ結果」
「名無しにホワイトハリケーンを全て止められ化身を出して1-0だ」
「さすがだな」

剣城のさすがの対象が俺か名無しなのかはわからないが俺は名無しのことを尊敬している。
あの華奢な体からは想像できない安定感があるのだ。
性格でもそれが反映されて、俺にとってかけがえのない存在となっている。

俺はあいつに何かできているだろうか。


「剣城」
「……なんだ」
「俺があいつにしてやれることはなんだろうか」


剣城の目が大きく開かれた。
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