白竜と

□こたつ
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雷門中学に転校してから早一週間。

昨日は剣城君にまさかの練習という名の勝負を挑まれて
狩屋君にどちらが真のDFかまさかの張り合い勝負が続いて筋肉痛です。
本当に今度あの二人に嫌がらせをしようと思います。はい。
この間初めてのテストでなかなかの好成績を残せたと思ってたらまさかの白竜が満点をどや顔で見せつけてきたので切り出せなかった。
さすが我らキャプテン。次元が違うよ。

そんな感じで初めての休日です。




「……おはよ」

朝、部活がないからといって目覚ましをつけないで寝て朝寝坊をしてしまった。
白竜はもう起きているのだろうかとリビングの扉を開くと

白竜が出したばかりの炬燵で寝ていた。

クッションを枕にして長い後ろ髪は横に払いのけていて思わず踏んでしまいそうだった。
規則正しい寝息をたてて幸せそうな顔で寝ていた。
そりゃ幸せだわ。あったか炬燵で寝るなんてうらやましい。
こいつ牙山さんの管理下から外れると本気でフリーダム。お姉さんもびっくりです。

とりあえずなんだか癪なので白竜のきれいなふわふわ髪をふんづけておく。
ちょっとざまぁと思ったのはテレビのスイッチを入れることで紛らわせよう。

牙山さんどうしてるんだろう。住所知ってたら年賀状でもなんでも送るのに。
アンリミテッドのみんなどうしてるんだろう…あの子たちかわいいから心配だな。

そんなことを考えながらぼーっとしているとテレビの音が耳に入ってくる。
ちょうどお昼前だからか色んな特集をやっていた。
今回は冬ということで鍋がテーマらしく色んなバリエーションの鍋が画面に映し出される。
私はそこで冷蔵庫の中身を思い出した。
そういえば昨日調子乗って色々買ったな……鍋しようかな。
水炊きはどうにもひねりがないのでキムチ鍋にしてみようかな。白竜辛いもの大丈夫だろうか。

無造作に机に放り出されているサッカー雑誌を見る。
興味なさそうにめくると私の憧れの不動さんが載っていた。不動さん素敵。
あ、吹雪さんも載ってる。
……てゴッドエデンで会ったんだっけ。本当に恥ずかしい思いをしたな。

急に顔が熱くなって思わず勢いよくサッカー雑誌を閉じてしまった。
白竜は起きないだろうか、と恐る恐る覗いてみたら案の定


起きた



うん。起きた。


ごめんね白竜。私が悪かった。

白竜は邪魔そうに肩にかかった後ろ髪を払い、眠たそうに目を擦っていた。
私はその様子に罪悪感を感じる。

テレビの音だけが空間を支配した。

「…………名無し…」
「ごめん白竜起こした?」
「……」

白竜の赤い目はじっと私を見つめる。
その目は少しうつろ気味だった。
相当眠たいんだろうな、昨日よく眠れなかったのだろうか。
この成長期の時期に大変ではないのだろうか。何か心配になってきたよ。

確かに雑音によって起こされるというのはあまり気分のよいものではない。
私は気まずくなり炬燵から少し温まった体を引っ張ってきて立ち上がる。

「ごめん、邪魔だから部屋行く」

ね、と言いたかった。
白竜が少し炬燵から這い出て私の腕を引っ張らなければ成し遂げれたはずだ。

気付いたら炬燵には入れないが白竜にはがっちりホールドされているというなんとも奇妙な態勢になった。
白竜が赤い瞳でこちらをじっと見てくるのでこれは炬燵に潜れということなのかと私は悟る。
おずおずと炬燵に潜りこむと白竜と体がぴったりとひっついて温かかった。
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