白竜と

□おやすみ
1ページ/2ページ


うとうといていた。

いや、私ではなく白竜が。

今日のサッカーで剣城とはしゃいでいたせいかそれとも単に慣れない環境で疲れたのか白竜はテレビを見ながら舟を漕いでいた。

そんなに眠たければ寝ればいいのに。

私はお風呂から上がってきて早々思ってしまった。
いや、別に悪いわけじゃないんだけど。
昨日は私の方が先だったので今日は白竜が先にお風呂に入った。
私は今お風呂からあがってきたので髪の毛を乾かすために白竜から少し離れてドライヤーのスイッチを入れる。
白竜は今にも閉じそうな目を擦ってこちらにゆっくりと顔だけ向けた。

「名無し……それが終わったら寝るのか……」
掠れた声でゆっくりとした口調で私に問いかけた。
まぁ寝たいんだけどね。早速宿題が出てしまったんですよ。
「んー宿題しないといけないから」
「そうか……」
白竜はいつもの勢いがなく、誰だこいつと思ってしまうほどだった。

「よし」
しばらくして髪が半乾きぐらいになったのでドライヤーのスイッチを切る。
きちんと乾かしていたら埒があかないので半乾きが一番だと思う。
だから日に日に髪がちょっとずつ傷んでくるんだろうなぁ。
鞄がリビングにあったのでここでやってしまおうと私は机にノートと教科書を広げた。
白竜はついに何も反応しなくなってしまった。

「白竜いくら炬燵でも風邪ひくよ」
「…………」
「ベットまで運べないからね」

ダメだこいつ、本気で何も反応しない。
まるで屍のようだった。
私は短く溜息をついて宿題に取り掛かる。数学だけとはいえ、教科書だけでは飽き足らず問題集からも出すってどんな鬼畜。
とりあえず必死に例題を参考に数字を書いていく。

15分かけて終わらせた。まぁこんなものだろう。
今日はそんなに無い方なのか1時間かかるということはさすがになかった。
雷門は私立だと聞いていたがこれなら牙山さんのスパルタの方が断然辛かった。
日常生活万歳。そういえば今牙山さん何してるんだろう。
なんだかんだ言って愚痴を聞かされていた仲なのでちょっと気になる。
とか思いながら静かにノートを閉じて明日の教科の準備に取り掛かる。

ごそごそ教科書を鞄の中に入れると白竜も明日の用意をしなければならないことに気付いたのかふらふらとしながらゆっくり鞄に筆記用具を入れだした。

「よし」
「寝るか……?」
「歯磨きまだ」

お前も歯磨きしてないだろ。私は半ば呆れながら白竜の背中を押して洗面所に連れ出す。
白竜に歯ブラシを渡すと「んー」と力のない手で受け取ってくれた。

しゃこしゃこしゃこ

「…………」
「…………」

なんかしゃべれよ
おいお前馬鹿わいいのが取り柄だろ

そんなことを思いながらなんとか歯磨き終了。
時刻は10時半。少し早いが今日の私たちにはちょうどいい時間帯だ。
「白竜寝るよー」
「……あぁ」

白竜がのろのろと歩くので私は少しいらいらして白竜の寝巻の袖を引っ張って白竜の部屋に押し込む。

よしこれで私の仕事は完了だ。
はい閉店終了。また明日。

だが白竜は私に残業を頼むようだ。
「一緒に寝るぞ…」と呟くと私を布団に引きこんだ。さすが白竜王子。
やることが大胆です。
そのまま白竜は私を抱き込んで規則正しい寝息をつく。
あれ?なんかデジャウ?



……まぁ私も疲れていたので寝ることにした
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ