白竜と

□お昼
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「……白竜知らなかったの?」
松風君がたどたどしく白竜に尋ねる。
みんな本当に同じ動きで白竜の顔を見た。

「いや、薄々感じてはいたんだが……名無しお前一個上だったんだな」

案外冷静なので私はほっと安堵の溜息を短くはく。
剣城君も短く溜息をはくと弁当に手をつけようとした。

が、元シード二人の考えは甘かった。


「なんで俺に教えてくれなかったんだよぉぉ」

泣きだしてしまった。
ゴッドエデンで白竜を見てきたメンバーは泣いている白竜を見てぎょっと驚いて箸を持っていた狩屋君は床に落としてしまった。

「うん、ごめんね白竜」
「つ剣城は知っていたのか…!!」
「あぁ……」

彼氏である自分は知らなくて剣城が知っていたという事実に白竜は更に泣きだしてしまった。
不幸中の幸いなことに屋上は私たち以外がいないということぐらいだ。

こうなったら奥の手を使うしかない。

「白竜」
「?」
「私と白竜の間では年齢なんて関係ないと思ったんだよ」
「え……」

「白竜は私の尊敬するキャプテンで大好きな人だからね」


さらりと恥ずかしい発言を無表情で言える私は相当な大物だと思う。
剣城君も弁当の箸を入れ物ごと回転しながら落してしまった。
剣城君芸人だ。


「名無し……!!」

白竜は涙を流して目を真っ赤にしながら首に腕を巻きつけてきた。
あーご飯食べれないよー。

みんなはリア充爆発すればいいといった目で見てくる。特に狩屋君。


「とか言うリア充爆発すればいいのにな」
「先輩もしかして俺の心読めるんですか?」
「思ってたの」
試しに呟いてみたら本気で狩屋君は思っていたらしい。
何この子怖い。





とりあえず白竜はやっぱり馬鹿わいい。
狩屋君侮れん。
一年ズかわいい。
剣城君苦労性。


そして放課後の私の気分は憂鬱。




(どういう顔してサッカー部の部室に入ればいいの!!)







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