白竜と

□同居
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シードである私たちがゴッドエデンというところで雷門といろいろありまして追い出されました。
説明するのがめんどくさいので詳しくは映画でということにしとこう。そうしよう。そうして。
とりあえず雷門の監督とコーチの計らいで雷門中学に入学することになり、新居まで用意してくれました。
雷門にはもう頭が上がりません。
そんなこんなで大分省きましたが私はこの、

「名無しー!お湯ってどうやったら出るんだ?」

この生活力ゼロ紙メンタル我らが元キャプテン・白竜と同居することになりました。
……正直心配です。

「何故にお湯?何するつもりなの?」
私がめんどくさそうにゴッドエデンから持ってきたものを整理しながら聞くと白竜はいつものドヤ顔でふんぞり返った。

「冷たくて手が洗えん!」

「威張るな」

というかお前よく今まであんな厳しい訓練に耐えてたな。と思わずツッコみそうになったがここで反応すれば白竜の思うツボだと思い言葉を飲み込む。
仕方なく重い腰を上げて洗面台に向かう。
適当に蛇口をいじっていたら湯気をたてたお湯がちゃんと出てきた。
なんだ、ちゃんと出るじゃないか。我らが王子様やることが違う。

「さすが名無しだな」
「ほめられても何故か嬉しくない」

白竜は目を輝かせて私の手元を見ていたので私は軽く白竜の胸板に裏拳を食らわせる。
はやく整理してしまわねば。今日中に終わらない。



それから30分が経った。
「名無しそっちは終わったのか?」
特にやることがなかった白竜は暇そうにテレビのチャンネルをいじっていたり冷蔵庫を意味なく開け閉めしていたりしていたが
そろそろ痺れを切らしたのか私に聞いてきた。
「ゴッドエデンから持ってきたものは本当に必要最低限のものだし…家具は揃ってるし…」
とりあえず服はいるだろう。白竜も私も今着ている一式と部屋着しか持っていない。
「服と…食材買いに行かないと……近くにショッピングモールなんかあったっけ?」

稲妻町のことはさっぱりわからない。なんと雷門側は地図を置いていかないという重大なミスを犯した。
これじゃあ何処に何があるかわからない……。

「白竜、剣城君の携帯番号とか知ってる?」
「俺が携帯なんて持ってるわけないだろう」
いつものドヤ顔で答える白竜はやっぱりうざい。今日は私はちょっといらいらしている分余計だった。
だが携帯を持っていないというのは事実でゴッドエデンに携帯というのは必要のないものの一つだった。
「とりあえずそこらへんの人に道を聞くか…」
私は再び立ち上がり、バックに必要なものを入れて玄関へ向かう。

「俺も行く」


白竜がいそいそと私のあとをついてきた。この姿はかわいいのだが今白竜が着いてきてしまえばややこしいことになる。

白竜がついてくる→色々とややこしくなる→道を聞けない→迷う→白竜が泣きだす

となるに決まっている。
「名無しだけでは荷物が不安だ」
「そこらへんは大丈夫、伊達に選手やってないんで」
「……」
さらっと答える私を白竜はじっと睨みつける。一瞬怯んだがゴッドエデンではないここでは無視をすればいいだけの話だ。
私は白竜をついてこさせまいと早足で廊下を歩く。ちょっとついてこないでくれますか。





「待て」
「わっ」
玄関で靴を履き替えて立った瞬間背後から白竜に抱きしめられた。急なことでちょっとびっくりする。

「……何」
「俺がいては迷惑か」


耳元で低く囁かれる。吐息が耳にかかってくすぐったい。
普段はそんなに離れていない身長差も玄関の段差があるので広がってしまった。
白竜は顔を私の肩に埋め、白髪が首筋を掠める。
支配されるというのはこういうことなのか、私は少し怖かった。
だが、ここで負けてられない。

「正直迷惑」
「…………」
白竜は予想通り肩を震わせながら落ち込んでいた。今にも泣きそうだ。
「お俺の何がいけないっ…っ」
白竜がついに泣きだしてしまった。私はぐっと顔を近づけられる。口から除く八重歯が少しかわいいと思ってしまった私はきっと重症だ。
私はなんて白竜に甘いんだろう。



「すぐ泣くしすぐけんか売るし方向音痴だし我儘王子だしすぐ泣くし」
「ぐぅっ……!」
白竜は予想以上の大ダメージを受けているようだ。私から手を離し、床に手をついてさらに落ち込んだ。

「でも」
だからなんで私こんなに白竜に甘いのかな。



「着いてきたいなら着いてくればいいんじゃない?迷惑だけど嬉しいし」
「名無し……っ!!」


勢いよく抱きしめられて額に口づけをされました。
いきなりのことなので思わず条件反射で関節技をかけてしまった。
白竜が悲痛の声をあげているのに気付き、謝りながら頭を撫でると「子供扱いするな」と怒られた。





そしてその後二人で仲良く手を繋いで町に出かけました。(あれ?物語調?)
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