雪村と
□部活
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仕方ないのでとりあえず何かしら試みてみることにした。
アイスグランド出来るかなと思って滑ってみるがブロック技じゃないことに気付き、避けれたものの尻餅をついてしまった。
うわぁ恥ずかしい。
「尻餅つくのもかわいいね」
「全国の吹雪ファンに謝ってください」
「……避けられた」
くそうこのブリザードコンビ面倒くさい!
吹雪先輩はとてもファンに見せられるような顔じゃないし……といってもでれでれと緩んだ顔なだけなので問題はないが。
雪村は何しろめんどくさい。避けられたのが余程ショックだったのか私が受け止めなかったことに腹が立っているのかとにかく相手にしたくない。
白咲が「やるな」と感心していたがそんな状況じゃないってことに気付いて!
雪村にかなり強い力で腕を引っ張られる。
うわぁぁあぁごめんなさい!!もうしません!!
「練習に付き合え」
「え」
「いいから」
雪村の表情が見えないので怒っているのか拗ねているのか泣いているのかよくわからなかった。
ただ掴まれた腕がびりびりと痛むところから見て怒ってるなこれはと本能が確信する。
どうしよう。
……しばらく経ったが何も無し。
これは拗ねてるのかな。
なんとなくシュート数を数えてみるが決まっている数がそんなに多いわけでもない。
なかなか荒削りな練習だな……。
ふと雪村の顔を見てみる。
悔しそうに八重歯をぎりぎりと噛み、眉間に皺を寄せている。
何だ、悔しかったのか。
そう気付くと安堵する自分と焦る自分がいてどうすればいいかわからなかった。
雪村とどう接すればいいのだろう。
「雪村」
「……」
「シュート率悪いよ」
「…………」
周りの空気がどっと重くなった。
あ、雪村怒った。
思春期特有の何処にぶつけていいかわからない感情が今高ぶったのが私にはわかった。
「エターナルブリザード完成させるんでしょ」
「……」
「頑張らないとね」
「……」
やばい。
雪村が拳を握りしめたあたりで危険なものを感じたが何処かで発散させてやらないと後々面倒だ。
と考えているのも束の間、次の瞬間先程より速いボールが私の目の前にいた。
「っつ」
こいつ、女子の顔面にボールを蹴りこむだと……っ!?
幸い目は痛めつけていないが鼻を思い切りぶつけたようで熱い何かが込み上げてくる。
鼻血出るかも。
あーもうこれ私ちょっと怒った。さすがの私もこれは怒る。
サッカーはこんなことをするために作られたんじゃないよ。
「雪っ」
「お前に何がわかる!」
「……」
雪村が目を見開いてこちらを威嚇する。
心無しか顔が辛そうだったので私の発した言葉はただの重みだったんだなと反省してしまう。
ただここで黙っている私じゃない。
「サッカーを捨てたお前に俺の何がっ」
雪村に向けてつま先で思い切りボールを蹴りあげる。
ボールは雪村を狙わず後ろのゴールのネットに頼りない音を立てて入ってしまった。
あぁやっぱブランクかな。
「強くなるんだよね雪村は」
「…………」
「吹雪先輩が雪村を輝かせてくれるよ」
「……だからお前に何が」
「だから私に見守らせてよ」
先程雪村が一生懸命ボールを蹴っている姿を見てやっぱこいつは本物なんだなと思った。
邪念はあったもののあのシュート率。やっぱり雪村は逸材だ。
それが幼馴染としては誇らしくもあり羨ましくもあった。
だからせめて助けさせてほしい。そう思った。
いつも酷い目にあわされてるけど。さっきも顔面にボール蹴られて。
なんかいつもこの暴君に振り回されて恥ずかしい思いして更に顔面にボール蹴られたけど。
「あーやっぱサッカーしてる雪村かっこいい」
「はぁ?」
「なんでもない」
「もう一回言って」
「やだ」
「もう一回言えよ」
「試合に勝ったらね」
「……」
「なんでボール蹴ろうとするの」
死亡フラグは常に立ってるけどやっぱなんとかなりそうです。
(おい)
(あ、雪村さんなんですか)
(名無しに手出した奴殺す)
(雪村目が本気だ)
(やめたげなよ一年びびってるじゃん)
(お前らもただで済むと思うなよ)
((えっ))
NEXT
なぁにこれぇ。途中シリアスに切り替わるところおかしい。
雪村ヤンデレ感があったりなかったり中途半端。