京介が

□シスコン
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ねぇ兄さん。
京介が最近おかしいの。
京介サッカーで選抜メンバーに選ばれて合宿行ったの覚えてる?
この間帰って来たんだけど何か男らしくなって帰って来たんだ。
うん。姉として誇らしいぐらいに。

でもね、


何だか怖いんだ。


あ、私に対して反抗的だとかそういうんじゃないの。
むしろ逆。
え、どういう意味かって?
それは……






「姉さん兄さん」
「京介」
「噂をすれば」

春休みということでお昼から優一兄さんのところで居座っていたらしばらくして京介が来た。
私服を着ているが手には紙袋を持っていて不思議に思い中を覗いてみると紫色の布があった。
何するつもりなの京介。

私は不審そうな目で京介を見つめると京介は何だよ、と顔を軽く逸らした。
いや、何だよはこっちが言いたいよ。

そんなこっちの複雑な心境を余所に京介は私が座っていた椅子に何食わぬ顔で腰かける。

「……そこ私の席」
「俺の膝にでも乗れば」
「よーし中三女子の重さを思い知れ」

嫌がらせのつもりで京介の膝に座ると私の腰に腕を回して溜め息をついた。
はいはい重いだろ。わかったら早くどけよ。
何だか着々と身長も伸びるがどんどん体重も増えてくる。

二人はこんなに細いのに……
背負い投げとかしたら折れそう。


「本当に仲いいね」
「私はそんなつもりないんだけど」
「……」
「ほら京介がショック受けてるよ」

どうしてショックを受けるの、京介。

お前もう中学生だろ。
そろそろ姉離れしてくれ。兄離れはしなくていいから。

仕返しなのか京介は私の髪で三つ編みを編み始めた。器用なところは兄さんに似てると思う。
にしても、

兄さん、私が言いたかったことを心で訴えてみてもいい?


私を見る目が半端なく危ない気がする。


誰がって?


……京介が。



「姉さん枝毛」
「えっ嘘」
「兄さん鋏あるか?」
「あっえっと……」
「じっとしてろ姉さん」
「はい」

京介はまるで私を壊れ物を扱うかのようにそっと優しい手付きで枝毛を切っていく。
私はその横顔を見てやっぱり京介が弟でよかったなぁと何だか優越感に浸ってしまった。
クラスの子に自慢してやりたいぐらいだ。
によによしてると京介に「何笑ってんだ」とデコピンされた。

「痛い……」
「女子に手上げちゃだめだぞ京介」
「何処に女子が居るんだよ」
「おい」

おい京介。ちょっとあとで顔貸せ。
いくら姉さんにでも言って良いことと悪いことがある。
兄さんには優しいのに私にはこの仕打ちとか!!
泣いちゃう!お姉ちゃん泣いちゃう!!


私達の様子を見てか優一兄さんは笑顔でアイコンタクトを送ってきた。
内容を読み取ると……京介は名無しを危ない目で見てないよ、微笑ましいね。

……甘いな兄さん。

京介が怖いのはここからだよ。


今から実証してあげよう!!


「ねぇ、ゼリー作ってきたんだけど食べない?」



京介と兄さんは変な顔をした。
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