ロンドニア!

□日常
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朝、私は目覚ましの音で目が覚める。
元々寝起きは良い方で神威大門は全寮制、当然就寝時間も早いわけで朝はすっきりと目が覚める。
うん、と一伸びして身体を横たわっている状態から起こすと閉められていたカーテンを開ける。
カーテンを開けると容赦なく朝日が部屋に入ってきて部屋を明るくした。
すると横のベッドですやすやと寝ていたモモコが唸って布団を上に引っ張る。
そんなモモコに私は出来るだけ優しく呼びかける。

「モモコ、朝だよ」
「……今、何時」
「6時半」

本来朝食は7時過ぎで余裕はあるのだがモモコは寝起きが悪いため早めに一度目を覚まさせゆっくり起床させるのが一番良いと判断し、この時間にいつも起こしている。
私が顔を洗いに行って制服に着替え髪を結び始めた辺りでいつも起きる。
無言でタオルを持ち部屋を出て行きさっぱりしてきて帰ってくる。
モモコは朝この部屋から一歩出るといつものモモコになる。この扉に一体どんな仕掛けがあるのだろうか。

「そろそろ部屋に洗面所設置するべきね」
「そんなことしたらモモコがしゃんとしないじゃん」
「食堂に行けばするわよ」

どっかの低血圧よりはまし、と呟きながらモモコは髪を梳かす。
流石、モモコは支度が速い。なのにちゃんとして見えるのは元々の素材というやつだろうか。
羨ましい。モモコは睫毛も長いしスタイルも良い。
廊下を歩く度に知らない男の子からプレゼントをもらってる。

「モモコは人気者だね」
「何言ってるの、嫌よあんなよわっちぃ男共」
「モモコに勝てる人はこの学園じゃ少ないでしょ…」

モモコの「自分より強い奴じゃないと興味を持たない」というのには困ったものだ。
クラスメイトの名前も未だに半分も覚えていない。
私はさすがに自分の小隊の隊長だったためか2週間で覚えてくれたけどタケヒロでさえ1カ月かかった。
今年のモモコのもう一人の仲間がアンディでよかった。アンディならロンドニアでも指折りのプレイヤーだし。

「ごんべ行くわよ」
「はいはい」
モモコの支度が終わり、食堂へと歩を進める私達。
途中で同じ小隊のメカニックの子に会い一緒に行くこととなった。
世間話に花を咲かせているとすぐに食堂に着く。
小隊のプレイヤーの子と第4小隊のメカニックと一緒にアンディとタケヒロが座っている姿が見え朝食を受け取ると私達3人はその席に向かう。


「おはよう!」

「おはよう!!」
「おはよう」
「おはよー」
「……」
タケヒロ以外の三人は元気よく挨拶をしてくれるがタケヒロは俯いたまま挨拶をしない。

「あれ?今日はまだ起きてないの?」
「寝起きが最悪で引っ張ってきたんだよ」
アンディが元気無く眉を下げて笑う。

タケヒロとモモコは寝起きが悪い。だがモモコの方が幾分かましだ。
モモコは起こしたら時間はかかるがきちんと朝食は起きてから食べる。
タケヒロは普段から無表情で機嫌が悪そうな顔をしているので朝殆ど起きてなくても誰も気付かないのだ。タケヒロもそれに甘えて半寝で食堂にいつも来る。
しかも寝起きが悪い時は大体不機嫌。学校行く頃には起きると良いけど……。

「相変わらずタケヒロは寝起き最悪ね」
「モモコに言われたくないと思うけど…」
「アンディ何か言った?」
「何も」

うんよかった。ロンドニア第4小隊は仲が良いようだ。安心安心。
第5小隊も3人で仲良く食べる。お互い尊敬し合った関係って素敵だよね。

神威大門の食事はいつも給食のようでたまにご飯が食べたいと思うけどもう慣れた。
成長期には少ないんじゃないかなこの量。中学生とかたくさん食べといた方がいいと思うけど……。
試しにアンディに尋ねる。

「この量で男の子って足りるの?」
「朝は十分、でもお昼はちょっと少ないかな」
「やっぱお昼お腹減ってるもんね」
「夜はスワローとかで何とかなるんだけど…」
「今年もタケヒロがシルバークレジットふんだくってくれるから大丈夫だよ!」

だと良いけどね、とアンディはからからと笑う。
タケヒロは超攻撃型のプレイヤーだからそれなりに目立ち評価されるだろう。
シルバークレジットという電子通貨が評価に応じてもらえる仕組みになっているのだ。つまり給料。
まるで本当に戦争に駆り出されているようだ。



「いつも思うけどごんべは何で高額獲得者にならないの」
「それ俺も思った」
「私は地味だからね」
特にタケヒロのように強い機体を持っているわけでも無くばっさばっさ敵をなぎ倒す訳でもなく。
ちまちまと敵の数を減らすタイプだから、というと納得したようなそうじゃないような反応が返ってくる。


タケヒロは未だに起きない。
そうしている間に学校に行く時間になった。
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