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□お勉強
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化学(総介)
「……H」
「水素」
「He」
「ヘリウム」
「Li」
「リチウム?」
「あってるBe」
「ベリウム」
「ベリリウムだ」
「あ」
元素周期表は楽しいが、どうにも覚えにくい。
「水兵リーベ僕の船ー」
「歌っても書けなきゃ意味ないだろ」
総介は面倒くさそうに私の頭を撫でる。
くそうかっこいい。
総介は何処からどう見ても理系だ。国語なら私の方が断然勝っている。
だがやはり小テストが多いのは理系の科目だしこれは覚える分野だから私にも出来る。はずだった。
「覚えれないよー」
「お前覚えるの得意だろ」
「じゃあ総介は全部言えるわけ?」
「…………」
総介はじっとこちらを見て何か考え込む。
「じゃあ俺が全部言えたら全部覚えろよ」
「え」
総介の目は本気だった。これ全部言えるのか。
「水素ヘリウムリチウムベリリウムホウ素炭素窒素酸素フッ素ネオンナトリウムマグネシウムアルミニウムケイ素リン硫黄塩素アルゴンカリウムカルシウム」
呪文ですか?
総介は一度も詰まることなく中学で必要な元素名を述べていく。
「総介気持ち悪っ……」
「お前が言えって言ったんだろうが」
「えー何?アルゴンって何よ」
「それは知らない」
ダメじゃん。
もうどうしたらいいかわかんなくてペン回しをするしかなくなった。
総介は人差し指を軌道に突っ込んで経路を阻む。
「あれだろ?お前んとこの化学の先生追試は満点採れってやつだろ」
「そうだよ面倒くさい」
「じゃあ」
今から間違えるごとに罰ゲームな
(何されるの私!)
(無視するとかパシるとか朝起こしてもらうとか)
(どれ選んでも地獄か)
総介は化学得意そうな顔してる。