天地創造

□夕焼け
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走り回って草をかけ分けて進んだ。
走って走って、息が飛び跳ねてる。

暗く長い森は、何処までも続き途切れない。
不気味な木の枝がまるで生きているように蠢く。

どこまでも続きそうな森に恐怖を覚えた頃
いきなり森が途切れた。
視界が開ける。


「…やった…?」

草原が広がる。
湧き上がる喜び、それは誰も達成していない偉業を
成したことに対する喜びであった。

「ッきゃっほーーーい!アーク様はやり遂げたぜ!」

誰も達成していないこと…クリスタルホルムという村以外の場所が存在していることの証明。

村の奴らはオレが「森の外がある」と言っても
信じてくれなかった。

みんな、森には入ろうともしない。
長老が「昔からある、掟」とやらで
森に入ってはいけないと決めているからだ。

この世界は広い。

そう、アークは信じている。
もちろん、理由なんて 無い。
直感でそう感じていた。ただそれだけだ。


目標を達成したからか、
泥だらけになりながら駆け回ったせいか
少し眠くなってきた。
早く村に戻ってみんなに教えなきゃと思うが
草たちが気持ちよさそうにそよいでいる…

横になると草のいい香りがアークを包み込む。

朝からずっと人の通ったことのない
山道を走ってきたんだ。
もう太陽は傾きかけている。
少しくらい、休んでも いいよ な …


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