天地創造

□日常
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アークside

オレはエルのところへ向かう。

さっき長老からメンドクサイことを任命された。
「昨日 機織り小屋に にわとりを入れた事だ」
なんでもにわとりは、積んであった織物を
踏み散らかし、織り途中の布をついばみ、
怒りに燃えたおばさんに追いかけられて
抵抗を試みたらしい。
その結果、おばさんの顔には足跡が残っているとのこと。
「謝ってきなさい」

えーーー。やだよ。
なんでオレが謝んなきゃイケないんだよ。
だいたい、にわとりがしたことだろ?
オレが謝る必要なんてあるのかよ??

実際に長老には言わないけど、
心の中で言い訳をする。

「いいから、謝ってきなさい」


長老には逆らえない、なんでだろう。
不思議な力でも働いているのだろうか。
首をかしげながらも機織り小屋に向かう。
別にメンドクサイことをするためじゃない。
エルの顔を見に行こうと思っただけだ。

背伸びをして部屋の窓を覗き込む。
エルの後ろ姿が見える。
どうやら機織り機に向かっているみたいだ。
こっそりばれないように窓を開け、
部屋の中へ降り立つ。

「エル」
そう呼ぶと彼女は決まって名前を呼び返してくれる。
「なぁに?おなかがすいたの?」
くすくす笑うエル。
「そ、そんなんじゃねー」
予想外の一言に少し戸惑ってしまう。

「冗談よ。 ねぇ、アーク。
 おばさんに謝った?」

なんだよ、長老だけじゃなくてエルまで
そんなことを言うのか?
面白くないぞ。

「ねぇ。」
気付くとエルがこちらを見つめていた。
「早く謝ったほうがいいわよ?」

エルはズルイ。
見つめられたら絶対に逆らえない。
オレは仕方なく後ろを向く。

「あと、出入りは扉からしてね?」
窓にかけていた足を下ろし、
おばさんの居る部屋へ続くドアを開けた…。



 アーク<長老<エルな構図が描けていたでしょうか? 楼
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