―本棚―
□消えた犯人・・・密室殺人の謎を解き明かせ！？
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そこはマンションの最上階である２５階の、１番角にある部屋だった。
ここでたった一週間前に殺人事件が起こったなんて、正直風疾には信じられなかった。
「入るぞ。」陸王が花蛍に預かってきた鍵でドアを開ける。
中は２ＬＤＫの間取りで、その内の部屋の一つには防音工事が施されている。大きなピアノとベッドが置かれ、ベランダがある。
このピアノの上で、まさにその人は殺されていたのだ。
「事件の主な内容は……」と、陸王が話し出した。
陸王の話によると、殺されたのはこの部屋の主、篠崎こよみ。有名なピアニストで、家族は両親が死んでいたので、実の妹の二人だけだったらしい。その妹もこよみが殺された一週間前から行方不明になっている。
被害者はピアノを弾くときに座る椅子に座り、ピアノにうつぶせになるような格好で背中から刺殺されていた。
そこまで聞くと触れていたピアノから思わず手を引っ込めた。その様子を視て陸王はふっと軽く笑って話を続けた。
容疑者は以下の３人。
被害者と交際していたという黒澤明良、被害者と共によく講演に行っていたという友人の真部海、そして被害者の妹である篠崎つき。警察は、妹が姉の殺した後に罪から逃れようと失踪したと考えているらしい。
「まあ、こんなところだろう。そして事件当時は玄関に鍵がかかっていた。まあ、ここのベランダが開いていたらしいがここは２５階。外からの侵入はまず不可能だろうな。」
「屋上からは？」
風疾が聞く。前にテレビのバラエティー番組で、屋上からロープを使って侵入する手口をやっていたのを思い出したのだ。
「この上にはソーラーパネルが設置されてるし、この上に上がる階段も何もない。無理だな。」
「それじゃあ本当に密室殺人じゃねぇか……」
「だから、そうだって言ってんだろ。」
「いや、冗談かなって……」
「んなの、警察で用足りるだろ。お前、アホだな。」
「なんだとッ！？」
怒った拍子に、思わずピアノに手が触れる。
キン……ッ……